ドイツ フライブルクの旅⑥
遂にヴォーバン住宅地に到着!
早田の原点となった持続可能な街を紹介します!
前回のドイツフライブルクの旅⑤フライブルクの古い建物や街区について学びます!では、フライブルク市の郊外を訪れ、100年以上前の古い建物が美しい街並みをご紹介しました。
第6弾では、ウェルネストホームの原点ともいえる「ヴォーバン住宅地」を訪れました。
ヴォーバン住宅地の視察スタート
線路の緑化でエコな騒音対策
とある平日の昼下がり。ウェルネストホーム一行はヴォーバン住宅地へとやってきました。
ヴォーバンの目抜き通りには、トラムが走っています。ふと、線路を見ると、途中から青々とした緑に覆われてるではありませんか。
そこへ、ちょうどトラムが走ってきました。走行中の音はうるさいのですが、植物の部分に差し掛かると、驚いたことに、走行音が小さくなりました! 植物には音を吸収する効果があり、トラムの音を削減するために、ここでは緑の植物が敷き詰められているのですね。
ヴォーバンでは、平日でも深夜1時頃まで、週末は朝までトラムが動いていますが、トラムが走るのは住宅地から50mも離れていないところです。そのため、音の対策として、このように植物を植えた線路がいたるところで利用されています。
ヴォーバンは、第二次世界大戦後、フランス軍に接収され、1992年に返還されました。その後、できるだけ車を住民に近づけない「Car Free」をコンセプトにつくられた街です。まだ誰も住んでいない時から市民協同組合ができて、みんなで話し合いをして、協力し合って街をつくっています。
建物と建物の間はゆったりしていて、緑が豊富なヴォーバン住宅地。その中央には広い公園があります。
住宅ができる以前、住宅を建設している間、この公園は空地で、建設資材やクレーンが置かれていました。そして工事が終わると、この空地をどんな公園にするか、というのを市民で話し合って決めたそうですよ。
だから場所によって公園の形は違います。それもまた面白いですよね。
日本とは違う、ドイツの雨水対策
ふと、線路を見ると、線路と並行して、大きなくぼみが続いています。さて、これは何でしょうか。
このくぼみは、雨水をためて地面に浸透させるためのものです。
ドイツでは、雨水などは地面に浸透させ、直接河川に流入しないようにしているのです。
道路はくぼみに向かってゆるく傾斜がかかっているので、雨水はくぼみに流れ、くぼみに集まった水は自然に蒸発したり、地面に浸透するようになっているのです。
日本では雨水も排水も下水管に通しているので、その水は直接川に流れ込んでしまっているのです。
また、ヴォーバンは美しい緑であふれています。住民は皆、住宅の周りに緑を植え、それを維持しているんです。
そのせいもあってか、市内中心部よりも鳥の声がたくさん聞こえてきます。
木の上を見ると鳥の巣箱が設置されています!
道を歩いているだけで、環境意識への高さを感じますね。
ウェルネストホームの原点、パッシブハウスレベルの賃貸住宅
上の写真は、1997年に建てられた賃貸住宅で、フライブルクで一番初めに建てられたパッシブハウスレベルの賃貸住宅だといわれています。
早田は2007年に初めてこの賃貸住宅を見たとき、「こんな賃貸住宅をつくりたい」と思い、会社を立ち上げました。
ますは住宅の前を見てください。菩提樹が並んでいます。実はこの樹々が日射をコントロールしています。葉が茂る夏は日除けに、葉が落ちる冬は日射が入るというわけです。
次に外観を見てみると、開口部(窓)が50%です。開口部が大きいですが、それをすっぽりと断熱建材(EPS)で覆っていて、しっかりしたパッシブハウスレベルの建物だと言えます。
ガラスは、当時にしては珍しいトリプルガラスを使用。Ug値は0.7W/㎡K、日射取得率(室内に注ぎ込む日射の割合は)0.6なので、冬場は暖かいですね。
バルコニーは、1.5mくらいしっかり軒を出し、夏場の日差しを遮るつくり。コストの高い外付けのブラインドは使わない設計になっています。
街路樹とも調和し、コストを抑えながら「夏は涼しく、冬は暖かい」を実現したこの賃貸住宅が、四半世紀前に建てられていたなんて、驚きです。
まとめ
いかがでしたか?
ヴォーバンは、歩くだけでも勉強になる住宅地ですね。ウェルネストホーム一行も、持続可能な取り組みを住宅でも実現するするべく、真剣な表情で視察を続けていました。
今回の記事の内容は、こちらの動画からもご覧いただけます。
次回の「ドイツフライブルクの旅」は、20年以上前から続くドイツの高性能住宅の取り組みについて、お届けします。ぜひご覧ください。