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エアコンの冷房と除湿、安くて快適なのはどちら?【測定結果を大公開】

エアコンの冷房と除湿、安くて快適なのはどちら?【測定結果を大公開】

「エアコンの冷房と除湿、安くて快適なのはどっちだろう・・・。」 とお困りではありませんか?

結論からお伝えしますと、 夏の暑い時期など、短時間で温度と湿度を思いっきり下げたい時は「強風冷房」 梅雨の時期など、温度はあまり下げずに湿度を思いっきり下げたい時は「弱風冷房(温度は16°C程度)」がおすすめです。

本記事では、 ・快適な温度・湿度 ・冷房と除湿の比較(温度をどれだけ下げるか、どれだけ除湿したか等) について、実際の測定結果を踏まえて詳しく解説します。

再熱除湿より弱風冷房の方が除湿量が多い」という驚きの結果も出ていますので、最後まで読んでいただけると幸いです。

本記事については、私のYoutubeチャンネル「高性能な家づくりチャンネル」でもご紹介しておりますので、そちらも併せてご覧いただけると幸いです。

快適な温度・湿度

そもそも、人間にとって快適な温度や湿度はどのくらいなのでしょうか。 様々なアンケート、実験結果から考察していきましょう。

1.1 快適な温度・湿度とは

温度は27-28度、湿度は45~55%くらいが、人間にとって快適な温度とされています。

この結果は、こちらの研究結果から導き出されました。 この研究では「体感、不快感、疲労感」の3つの項目でアンケートを取り、加えて自律神経評価値を測定しています。 「体感、不快感、疲労感」はあくまで回答者の主観ですが、自律神経評価値は身体的生理現象に関するデータです。 そのため「温度は27-28度、湿度は45~55%」が体感的にも身体的にも快適な温度・湿度だといえるでしょう。

1.1.1 体感

このデータは、温度・湿度について「暑い・涼しい」どう感じるかについてのアンケート結果です。 縦軸にある「.00」が、暑いとも涼しいとも感じない快適な温度環境を表しています。

このデータによると「温度が26~28°C」が快適だと感じる方が多いようですね。

1.1.2 不快感

このデータは、温度・湿度について「快適・不快」どう感じるかについてのアンケート結果です。 縦軸の「-(マイナス)」に向かっていくデータが、快適な温度・湿度環境を表しています。 そのため、「温度が26°Cで湿度が40%程度」が快適だと感じる方が多いようですね。

1.1.3 疲労感

このデータは、温度・湿度についてどのくらい「疲れ」を感じるかについてのアンケート結果です。 縦軸の「-(マイナス)」に向かっていくデータが、疲れが少ない(低疲労)という結果を表しています。

そのため、「温度が24°Cの場合は湿度が55~70%程度」「26°Cの場合は40%程度」だと疲労感をあまり感じない方が多いようですね。

1.1.4 自律神経評価値(LF/HF値)

このデータは、温度・湿度に対する自律神経の活動を測定した結果です。 先程の3つのアンケートはあくまで回答者の主観によるものでした。 しかし、このデータを身体的生理現象に関するものなので、実際に身体にとって快適な温度・湿度がわかります。

今回の結果によると、「温度が26°Cの場合は湿度が55~70%程度」「28°Cの場合は40~55%程度」だと身体にとって快適なようですね。

1.2 男性と女性の違い

快適な温度や湿度には、男女差があります。

このデータは、男女別の快適な温度・湿度についてのアンケート結果です。 縦軸にある「.00」が、暑いとも涼しいとも感じない快適な温度環境を表しています。

男性は「温度が24~26°C」の場合、涼しいと感じる方が多いです。 また、「温度が28°Cでも、湿度が55%以下」だと快適さを感じています。

女性は「温度が26°C、湿度が70%程度」「温度が28°C、湿度が55%程度」が快適さを感じる方が多いです。 また、リビングでくつろいでいる状態では「温度は27~28°C、湿度は50~55%程度」がおすすめです。

男性と女性で基礎代謝が異なるため、基本的には男性の方が寒さに強い傾向にあります。 冬に冷え性になるのは、女性が多いですよね。 これは、一般的に女性の方が筋肉量が少なく、基礎代謝が低いためです。

1.3 まとめ

温度は27-28度、湿度は45~55%」を目安に、体調や家のつくりに合わせて微調整するのがおすすめです。 「体感、不快感、疲労感」に関するアンケートや自律神経評価値、また男女差を考慮するとこの結果になります。 このくらいの温度・湿度を保つと、家にいる全員が快適に過ごせるのではないでしょうか。

もちろん、体調や家の性能によって快適な温度・湿度は少し変わります。 微調整して、適した温度・湿度を探してみてくださいね。

2 冷房と除湿を比較

では「温度は27-28度、湿度は45~55%」を保つのに、エアコンの冷房と除湿のどちらを利用すると良いでしょうか。

結論からお伝えしますと、「冷房(弱風&低温)」が消費電力も少なく、快適です。 しかも、除湿運転より除湿量が上という測定結果も出ました。 なぜ、このような結果になったのでしょうか。 詳しく見ていくため、まずは、冷房と除湿についての大まかな比較をしていきましょう。

2.1 大まかな比較

こちらの「冷房と除湿の比較」に関する表をご覧ください。 目的、温度、消費電力にはこのような違いがありますね。

夏は冷房で温度・湿度をグッと下げて、梅雨の時期は弱冷房除湿や再熱除湿で湿度を下げるケースが多いと思います。

ところで、弱冷房除湿と再熱除湿といった、この2種類の除湿はいったい何でしょうか。

2.1.1 弱冷房除湿と再熱除湿

弱冷房除湿(ドライ)とは、「冷房の弱運転」です。 基本的に、エアコンに書いてある「除湿」は「弱冷房除湿」を指します。

冷房の弱運転なので、室温はあまり下がりません。 またその範囲で除湿するため、除湿量はそれなりで、消費電力は再熱除湿より少ないです。

再熱除湿とは、「冷房と暖房の同時運転」です。 湿度を下げながら、温度はあまり下げません。 そのため梅雨の時期等、「弱冷房除湿では除湿のパワーが足りないが、冷房を強くすると寒くなる」時に使用します。

 

2.2 実測出力の推移

「冷房、弱冷房除湿、再熱除湿」この3つのうち、最も除湿に向いているのはどれでしょうか。 実際に、弱冷房除湿(弱風冷房)→強風冷房→再熱除湿の順番でエアコンを運転し、温度や電力等を測定しました。

初めにグラフの読み方についてご説明します。 グラフ上部にある語句は、以下のような意味です。

「顕熱」→冷やした量(どれだけ温度を下げたか) 「潜熱」→除湿した量(ドレイン配管から排水した量) 「電力」→消費電力量 「風量」→エアコンの風量 「吹き出し温度」→エアコンの吹出口の温度 「絶対湿度」→エアコンの吹出口の湿度(空気1kgあたり何gの湿気があるか) 「COP」→エアコンが1の電気で”どれだけの冷気を作ったか”、”除湿ができたか”の成績係数

 

2.2.1 弱冷房除湿(弱風冷房)

それでは、弱冷房除湿(弱風冷房)について見ていきましょう。 弱冷房除湿のCOP(紫色のグラフ)はおおよそ「7.9」です。 1kgの電気エネルギーで、約7.9倍の冷房・除湿を行うことができました。

下に向かって伸びている、青い縦棒グラフをご覧ください。 そのうち57%が冷やした量(顕熱)に、43%が除湿(潜熱)に振り分けられています。

2.2.2 強風冷房

次に、強風冷房について見ていきましょう。 下に向かって伸びている、青い縦棒グラフをご覧ください。 こちらは冷房なので、冷やした量(顕熱)、除湿量(潜熱)どちらも弱風冷房や再熱除湿に比べてかなり増加していますね。 しかし、その分消費電力も3倍程度上がっています。

強風冷房のCOP(紫色のグラフ)はおおよそ「10.6」です。 1kgの電気エネルギーで、約10.6倍の冷房・除湿を行うことができました。 エアコンからの吹き出し温度も、弱風冷房に比べて下がっており約10度くらいです。

強風冷房が、弱風冷房や再熱除湿より部屋を冷やす・除湿する力が高いですね。 冷やす・除湿することに関しては最も効率が良いです。 しかし、その分電気代がかかってしまいます。

2.2.3 再熱除湿

最後に再熱除湿について見ていきましょう。

下に向かって伸びている、青い縦棒グラフをご覧ください。 冷やした量(顕熱)は、なんと弱風冷房より多いです。 再熱除湿は「冷房と暖房の同時運転」をしていますから、この結果は意外ですよね。

除湿量(潜熱)は、弱風冷房と強風冷房より少ないです。 また、エアコンからの吹き出し温度は、10°Cから15°C程度まで上がっています。

そのため、再熱除湿のCOP(紫色のグラフ)はおおよそ「6.6」と弱風冷房や強風冷房に比べて下がっています。 弱風冷房と強風冷房に比べて、最も効率が悪いと言えるでしょう。

梅雨の時期など「温度を下げすぎず、たくさん除湿したい」場合には、強風冷房は適していません。

2.3 まとめ

再熱除湿は、湿度を下げる能力が相対的に見て低いです。 運転方法や環境によっては、湿度をかなり下げることができます。 が、基本的には暖房と冷房を同時運転するため、湿度を下げる能力は低く効率は悪いです。

弱風冷房は、温度と湿度を緩やかに下げます。 また、再熱除湿より除湿能力が高いです。 ちなみに、弱風冷房で温度を下げて(16°C程度)運転すると、温度を保ちながら湿度を大幅に下げることができます。 消費電力も少ないので、湿度のみ下げたい場合はおすすめですよ!

強風冷房は、温度と湿度を下げる能力が最も高いです。 ただ、その分電気代もかかる傾向にあります。 加えて温度も下がりすぎてしまうので、除湿を重点的にしたい方にはおすすめできません。 そのため、短時間で一気に温度や湿度を下げたい時には、強風冷房がおすすめです。

 

3 まとめ

家にいる全員が快適に過ごすには、温度を27-28度、湿度を45~55%程度に保つことが重要です。 では、どのようにしてこの温度・湿度をキープするのでしょうか。

梅雨の時期など、温度を下げすぎずしっかり除湿したい場合は「弱風冷房(温度は16°C程度)」がおすすめです。 再熱除湿より除湿量が多く、また消費電力も少ないので省エネですね。

また夏の暑い時期など、すぐに温度を下げたい・除湿したい場合は「強風冷房」がおすすめです。 電気代はかかりますが、弱風冷房や再熱除湿に比べて1.3~1.5倍ほど効率が良いです。

このように、状況によって最適な設定は変わります。 そのため、梅雨時は「弱風冷房(低い温度)」、夏の暑い時期は「強風冷房」と使い分けて、快適な住環境づくりをしていきましょう。

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