全国初! 都内の新築戸建住宅に太陽光パネルの設置が義務化?!
費用はどうなるの?
東京都が新築戸建住宅に太陽光パネル設置を義務化するということはご存じでしょうか。
戸建住宅に対する義務化は全国初の試みであることなどからニュースでもかなり取り上げられていましたね。
「もし義務化されるとしたら負担とかってどうなるの?」
などが気になりませんか?
内容が不透明かつ都民の理解が得られていないという理由から反対意見も多かったと聞いています。
では、なぜ義務化に至ったのでしょうか。
2050年カーボンニュートラル実現という国の目標に貢献するため、東京都は2030年までにカーボンハーフを達成することを表明しています。
しかし、都内のCO 2 排出量の約3割が家庭から排出され、そのうちの約7割が電力であるにもかかわらず、太陽光パネルなどの再生可能エネルギー電力の設備の設置はあまり進んでいないのが現状です。
また2050年時点では、住宅ストックの約7割が今後新築される建物に置き換わるとされています。
そのためCO 2削減の促進に向けては、設置が急務となっており、今回の戸建住宅への設置義務化はある意味先陣を切ったことになります。
戸建住宅としては全国初で前例がないのですから、模索中なのは想定内かもしれませんね。
ただ、これで前例ができたわけですから、今後は東京都に追随する自治体が出てくる可能性がありますし、すでに神奈川県川崎市がその動きを見せています。
そこで、今回は太陽光パネル設置義務化に至った経緯やその効果など、都民の皆さんが不安に思っていることを一緒に解消していきましょう!
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義務化されるってどういうこと?
太陽光発電パネル設置義務化は、2022年12月15日の都議会で可決されました。これは環境確保条例の改正に伴い新設されたものです。2025年4月1日から正式にスタートする予定で、それまでの2年間は準備・周知期間となっています。
誰が対象なの?
恐らく大半の人の最初の疑問が「設置義務化が課されるのは、これから家を建てようとしている私たち都民なのか」というところではないでしょうか。
実はそうではありません。
今回、東京都が設置義務化の対象とされたのは、都民ではありません。
主な内容は下記のとおりとなっています。
対象 | 年間の都内供給延床面積が合計 20,000㎡以上のハウスメーカー等の事業者(都内大手ハウス メーカーの約50社が対象)であるとされ、都内での年間新築棟数の半数程度の規模を想定 |
例外 | ・算出対象屋根面積が20㎡未満などの狭小住宅の場合、設置基準算定の棟数から除外可能 ・既存住宅は除外 |
罰則 | 取り組みが不十分な場合(設置基準※に満たない場合)は、都が指導・助言・勧告・事業者名の公表等を行うとしているが、罰則はない |
※【再エネ設置基準】 都内で供給する住宅が500棟ある事業者の場合の例
◆基準適合イメージ
4kWを100棟に設置 ⇒ 400kW
2kWを250棟に設置 ⇒ 500 kW
設置に適さない住宅棟150棟 ⇒ 0 kW
基準適合
合計設置容量
900kW > 再エネ設置基準(850kW)
なぜハウスメーカー等の事業者が対象なのでしょうか。
そこには、ハウスメーカーに義務化することで、住宅の環境性能向上のため、都民に向けて太陽光パネル設置化への動きをけん引し、ともに脱炭素社会に貢献してもらいたいという意図があります。
というのは、この制度ではまず、ハウスメーカー等が注文住宅を建てる人などに対して、断熱・省エネ、再エネ等の環境性能に関する説明を行うことが求められています。
それに対し、住まい手である都民はハウスメーカー等からの説明を聞いた上で「CO2削減に努める」という立場を踏まえ、住宅の注文等を判断する仕組みになっています。
太陽光パネルを設置するかどうかは都民の判断にゆだねられているわけです。
ということは、太陽光パネルを設置した場合のメリット・デメリットを勘案した結果、選択しないという方もいらっしゃるかと思います。
そんなときはどうしたらよいのでしょうか。
東京都に問い合わせたところ、ハウスメーカーが設置基準をすでに満たしていれば、設置しないという選択が可能です。そうでない場合は、設置義務の対象ではないハウスメーカーに注文する方法があるといつことです。
でもなぜ義務化なのでしょうか。
そこには、東京都が急ピッチで設置を進めていかなければならない理由があります。
なぜ義務化するの?
冒頭でもお話しましたが、2030年までにカーボンハーフを目指しているのに、思うほど進んでいないからですね。
2030年カーボンハーフというのは、2030年までに2000年比で温室効果ガスを50%削減し、再生エネルギー電力の利用割合を50%まで高めていくことを表しています。ちなみに温室効果ガスのほとんどを占めているのはCO2です。
現状どうなっているかと言いますと、東京都環境局の統計では2020年度の都内のCO2排出量は、エネルギー起源CO2で2000年度比は11.7 %減少しています。一方で家庭部門は32.9%増加しています。
全体ではまぁまぁ頑張っていますが、家庭部門は苦戦していますね。
太陽光パネルはというと、東京都環境局が2021年に公表した東京都太陽光発電設備現況調査によると、建物全体では3.78%の設置率。戸建住宅では4.75%となっています。
また東京都における再生可能エネルギー電力の利用割合は、2020年で19%程度です。
これまでは毎年ほぼ1%~2%の割合で増えていました。今後も同じペースで推移していくと考えると、2030年までの7年間では7%~8%程度しか増えません。
ですが、先ほどもお伝えしたように都内での太陽光パネル設置率が約4%ということは、まだまだ拡大の余地があるということで、そのための義務化でもあるといえます。
義務化するのは日本だけなの?
世界中で起きている自然災害や異常気象などを見れば、環境問題が日本だけのものではないことがわかりますよね。 その原因であるCO2排出削減の対策は世界中で実施されています。
カーボンニュートラルに賛同した国
東京都以外で、カーボンニュートラルおよび住宅への太陽光パネル設置義務化に関する政策を展開している主な国と地域は、下記のとおりです。
国と地域 | 内容 |
EU諸国 | ・再生可能エネルギーの導入加速:2030年目標を40%から45%に引き上げる ・2029年までにすべての新築住宅に太陽光発電設備の設置を義務化する提案 |
ドイツ | ・州政府において、太陽光発電義務化条例の導入が進む ・ベルリン州では、2023年1月から住宅への太陽光発電の設置義務化(すべての新築・既存建物の(50㎡超の屋根)の改修に適用) ・国内16州のうち7州が太陽光義務化を導入 |
アメリカ(カリフォルニア州) | ・2020年、州内すべての新築住宅に太陽光発電設置義務化 ※戸建住宅および集合住宅(3階建以下)の建築主、建設事業者に義務付け ※住宅規模や気候区分を考慮した義務基準(パネル容量)を設定 ※日陰や屋根に十分なスペースがない住宅は義務免除 |
CO2削減は地球規模の課題ですから、グローバルに協力していくことが重要ですね。
義務化に踏み切るのは東京だけじゃない?
では、日本国内において設置義務化を提唱しているのは東京都だけなのでしょうか。
もちろん、脱炭素社会を目指すことは東京都だけの問題ではないですよね。
戸建住宅が対象ではありませんが、一定以上の建物への設置義務化を最初に決めた自治体は京都府・京都市です。2例目は群馬県で、川崎市は東京都に続き戸建住宅への設置義務化を予定しています。
下記に主な概要をご紹介しますね。
自治体 | 義務化の概要(対象など) |
京都府・京都市 「京都府再生可能エネルギーの導入等の促進に関する条例」「京都市地球温暖化対策条例」 | ・延床面積2,000㎡以上の建築物の新築・増築時に設置義務 ・延床面積300㎡以上2,000㎡未満の建築物の新築・増築時に設置義務(2022年に新設) |
群馬県 「2050年に向けた『ぐんま5つのゼロ宣言』実現条例」 | ・延床面積2,000㎡以上の建築物の新築・増改築時に設置義務(2023年4月1日以降) |
川崎市 「川崎市地球温暖化対策の推進に関する条例」の改正に伴う新設(2023年秋以降随時) | ・延床面積2,000㎡以上の建築物の新増築時に設置義務 ・延床面積2,000㎡未満の戸建住宅などを市内に年間一定量以上建築・供給する建築事業者に設置義務 |
詳しくは、各自治体のWebサイトでご確認ください。
省エネだけでなく、再エネ(再生可能エネルギー)の創出に取り組むこともカーボンニュートラル実現にとって重要な視点というわけですね。
義務化されると費用負担が増えるってホント?
2030年までにカーボンハーフを達成するのは少し厳しいもしれないけれど、太陽光パネル設置拡大に向けてはまだ拡大の余地があるということはご理解いただけましたでしょうか。
とはいえ、太陽光パネルを設置するにしても自分たちに費用負担がかかるのはちょっと……と二の足を踏んでしまうかもしれません。
また、たとえ負担があるにしても設置義務化することで得られる効果が高ければ、ある程度納得できる場合もありますよね。
そこで、ここでは設置義務化によって得られる効果について見ていきましょう。
得られる効果はどれくらい?
東京都の試算では、新制度で義務化される導入分に加え、その波及効果等も合わせると、2030年までに新築・既存含めた都内住宅で新たに導入される太陽光パネルは100万kW程度※を想定しています。
※100万kW程度の内訳は次のとおりです。
①新築住宅への義務化による直接的な導入量は、年間で4万kW。2025年~2030年までの6年間で24万kW(4万kW×6)が見込まれる |
②基準量は2kWとされていますが、実際はそれを上回る設置が多く、また新築住宅への太陽光パネル設置標準化が進むことで新築住宅全体で70万kW程度の増加が見込まれる |
③新築住宅のみならず、条例改正に伴い、今後は既存住宅でも設置への関心が高まるとされており、支援の拡充などによって新たに30万kW程度の導入が進むことが想定される |
この場合、CO 2 削減効果は年間約43 万トンであり、 2030 年までに家庭部門で必要な削減量942 万トンの約5%に相当するとのことです。
この効果を多いとみるか、少ないとみるかは判断が分かれるかとは思いますが、再生可能エネルギー電力を構成しているのは太陽光発電だけではありませんので、今後他の再生可能エネルギーにも期待が寄せられるところです
費用はどれくらいかかるの?
設置義務化の趣旨は理解できた。効果もそれなりにはありそう。では、いよいよ設置すると決めたとします。そんなとき、費用がどれくらいかかるのかは気になるところですよね。
こちらも東京都が試算しています。
4kWの太陽光パネルを設置したとしましょう。
その場合、太陽光パネルを設置する際にかかる初期費用 約98万円が10年程度で回収可能とされています。現行の補助金10万円※を利用すると6年間での回収が可能となります。
※詳しくは東京都環境局Webサイト「(令和4年度)災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業」をご覧ください。
また、リース等を利用して初期費用をゼロにする方法もあります 。
リースについて、詳細をお知りになりたい方、またはご検討されている方は、ウェルネストホームまでお問合せください。
さらに、断熱・省エネ性能に優れた住宅に4kWの太陽光パネルを設置した場合、東京ゼロエミ住宅の助成金やこどもエコ住まい支援事業の補助金を利用すればお得度が増します。
いかがでしたでしょうか。費用はある程度賄えるようになっています。
ですが、太陽光発電は経済的なメリットだけではありませんよ。
それについてはまた別の機会にお話ししますね。
まとめ
設置義務化といわれるとびっくりしますが、対象はハウスメーカー等であり、都民の皆さんではありません。
ただし、繰り返しになりますが、今後太陽光パネルを設置するかどうかは自分で選ばないといけません。
また義務化の対象は確かに大手ハウスメーカーが想定されていますが、それ以外のハウスメーカーが太陽光パネル設備のある住宅を扱えないわけではありません。
今回の設置義務化を機会に一度考えてみてもよいのではないでしょうか。
もし都内に戸建住宅を新築しようと思われたなら、信頼のおけるハウスメーカーに相談するのが一番です。
そんなときにお役に立てるのがウェルネストホームです。
当社では、全棟に太陽光発電設置のご提案をしています。
ぜひ一度ご相談ください。