高機能換気設備輸入販売の第一人者、改正和己社長に聞く注目が集まる熱交換型換気システムとは?

高機能換気設備輸入販売の第一人者、改正和己社長に聞く
注目が集まる熱交換型換気システムとは?

「高気密高断熱住宅」という言葉は、みなさんよく耳にされていると思います。
高い気密、まさに高気密と高断熱が両輪となって、初めて快適な温度を維持することができるわけですが、実際には、ここにもう一つ大切な要素があります。それは設備です。

省エネ性能を高めるための設備といってもさまざまで、その中でも特に重要なのが、本日お話しする「換気」です。
高機能な換気設備を扱う、エディフィス省エネテック株式会社の改正和己社長の解説のもと、「換気」の持つ役割について学んでいきましょう。

プロフィール

改正和己
エディフィス省エネテック株式会社 代表取締役

1982年1月8日生まれの41歳。

近畿大学商経学部を卒業後、1年間の海外留学を経て、株式会社ヴィレッジヴァンガードに就職。理由は、カルチャーに興味があり映画、音楽、書籍、漫画等の趣味を仕事に活かしたいと考えたため。愛知、栃木、埼玉、東京で店長を歴任した。

2013年、義父のヒートショックによる突然死をきっかけに、住宅性能につて真剣に考えるようになる。2014年、父が創業した、エディフィス省エネテック株式会社に入社。

入社後は製品の輸入から営業まで担当し、2022年代表取締役に就任。 ヒートショックのない世の中を目指し、健康快適な住まいづくりを提案している。

改正和己
エディフィス省エネテック株式会社 代表取締役

高機能換気設備輸入販売の第一人者、エディフィス省エネテック

エディフィス省エネテックは、国内における高機能換気設備輸入販売の第一人者といえる企業です。偶然にもウェルネストホーム創業の年と同じ、2012年8月に誕生しています。
創業者で改正社長の父である改正総一郎氏は、同社を設立する前、36年間にわたって、断熱材メーカーに勤務していました。

オフィスビルを中心としたさまざまな建物の断熱性向上に携わり、長年断熱の現場を見てきた経験から、断熱の効果をより高めるためには、高い気密性が必須であると痛感。気密性を担保する換気設備を国内で普及させることを目指し、エディフィス省エネテックを興します。

総一郎氏は、より良い換気設備を追い求め、世界中の展示会や企業を回りました。そしてついに換気設備の高性能化が進むヨーロッパにそのヒントがあると感じ、現地で断熱・気密の現場を歩き回ります。その過程で、建物には多様な構造があること、そしてヨーロッパにおける換気の主流は、熱交換換気であることを知ります。

そして出会ったのが、ドイツのインヴェンター社が製造する、第一種デセントラル熱交換換気システム「ヴェントサンVENTOsan®」でした。
デセントラルの英語表記はDecentralで、ダクトがないタイプの熱交換換気システムのことを言います。

詳しい性能については後述しますが、この商品の可能性を実感した総一郎氏は、自らの人生をかけて日本で普及させることを決意します。
すでに代理店契約を交わしていた企業が契約を解消し、インヴェンター社が日本を撤退するタイミングとも重なったことから、同社が名乗りを挙げ、日本における総代理店契約を締結。インヴェンター社からの「改正社長なら信じられる」の言葉と共に、活動をスタートさせたのでした。

熱交換型換気システム「ヴェントサン」の仕組みと構造

第一種デセントラル熱交換換気システム「ヴェントサンVENTOsan®」(以下、ヴェントサン)の仕組みと構造について解説していきます。

そもそもですが、「熱交換換気」というのは、聞きなれない言葉ですよね?
みなさんがイメージする「換気」は、トイレやお風呂についている、汚れた空気を外に捨てるだけの役割の「換気扇」ではないでしょうか。

では、熱交換換気とはどのようなシステムなのでしょうか?

熱交換換気というのは、例えば真冬であれば、外からの冷たい空気を温めて室内に取り込み、逆に室内の温かい空気は冷まして外に排出する、その際、室内の湿度も一緒に放出し、逆に外からの乾いた空気を取り込むときは、湿度を含ませて室内に取り入れるという機能のことです。

そして、換気には、第一種、第二種、第三種という、3種類のシステムがあるのですが、
ここでは説明を省略するので興味がある方はこちらの動画をみてください。

ヴェントサンの構造は以下の図のようになっています。
室内パート、壁内パート、野外パートの3パートからなります。
カバーの次にフィルター、ファンがあり、メインの構造体である筒形の熱交換器(蓄熱エレメント)、そしてフードとなります。

(エディフィス省エネテックHPより転載)

(エディフィス省エネテックHPより転載)

壁に埋め込む形で設置するシンプルな構造です。

上記の換気システムが、2台でワンセットとなり、空気を室内に入れたり、野外に出したりする仕組みになります。
2台で1セットのヴェントサンは部屋ごとの個別換気ではなく、1台のコントローラで最大8台まで連動し、建物全体を換気します。

では、どのように、熱交換が行われるのか、その仕組みを解説します。

①70 秒サイクルで給気と排気を切り替え

前述のように換気ユニット2 台を1 セットとし、70 秒ごとにファンが連動反転することで給排気が切り替わります。通過する給排気の熱を蓄熱エレメントに蓄積回収しながら換気します。

②蓄熱エレメントに多孔質セラミックを使用

ハニカム構造の多孔質セラミックは蓄熱性が高く、湿度も回収します。また、掃除機での清掃や水洗いなど簡単なメンテナンスで性能を長期間維持します。
エレメントはハニカム構造といい、蜂の巣のような、六角形の構造でできています。かつては四角形でしたが、六角形の方が表面積が大きく、摂氏25度に安定しやすいことから、最近はこのハニカム構造が主流。素材はセラミック(陶器)で、劣化しにくのが特徴です。

③熱交換率87 % の高エネルギー効率

風量20 m3/h時に、温度交換率87%、湿度交換率36%の全熱交換システムです。 ドイツの試験機関「TUV」により、ドイツ工業規格DIN に準拠した試験を行っています。

①の通り、ファンが70秒ごとに切り替わることで、外からの空気を取り込んだり、中の空気を外に出したり、という熱交換を繰り返します。

繰り返しになりますが、熱交換換気は、真冬であれば外の冷たい空気を温めて室内に取り込み、逆に室内の温かい空気は冷まして外に排出する、その際、室内の湿度も一緒に放出し、逆に外からの乾いた空気を取り込むときは、湿度を含ませて室内に取り入れるという機能を持っています。
冬期は、10グラムの湿気を3グラムほど交換(室内に戻す)します。
夏期は、10グラムの湿気を7グラムほど交換(室外に排出)します。

本試験は、DIN EN27779,DIN EN2341,DIN 456 35 T 38 及びDIN 13141-8(デセントラル熱交換換気試験規格)に基づき、ドイツ建築研究所(DIBt)にて行った第三者試験データを翻訳作成したものです(※2を除く)

※1ヴェントサンの有効換気量率は1(100%)です
ヴェントサンにはダクトが無く、給気口と排気口が別になりますので換気が給気に混入することはありません
※2.DIN EN27779,DIN EN2341, DIN 456 35 T 38, DIN 13141-8を基づき、ドイツ・インヴェンター社にて行った社内試験

ヴェントサンの場合、ファンが反転することで、空気や湿気を吐き出したり取り込んだりしていることがわかっていただけたかと思います。

さて、なぜ70秒かというと、10年間にわたりさまざまな実験を繰り返した結果、60秒でも80秒でもない、70秒が、温度を温めたり冷ましたり安定化させる上で最も適切だった、ということのようです。
実験により、70秒超えると著しく効率が落ちてしまい、逆に80秒空気を温めても70秒と大差がないことが分かりました。
ちなみに、セラミック素子の条件によって最適な秒数は変わるため、別のメーカーでは素材が違うことから熱交換のタイミングは50秒という場合もあるようです。

ファンについて

インヴェンター社は、このファン自体を自社で開発しています。名称は、「キセニオン」といい、国際特許を取得しています。

特徴は、静音構造。外の音が中に入ってきにくく、その逆もあります。
ファンの羽を大きくすることで、外からの圧力に強く、たとえ外で強風が吹いていたとしても、その影響を受けにくい構造になっています。
また、消費電力についても特徴があります。消費電力は、3W程度。
つまり、1年間8760時間で常時運転しても、3W×8760時間で、26k Wh。仮に電気料金単価が50円/kWhまで値上がったという想定であっても、年間で1300円程度です。 一軒家の場合、6台設置していることが多いので、6台分をかけて7800円。この程度の電気代負担で済むということです。

さて、ここまでヴェントサンの仕組みについて解説し、換気ユニット2 台を1 セットとして、70 秒ごとにファンが連動反転することで給排気が切り替わることを解説してきました。
ただ、実のところ、わたしたちの元には、換気ユニット2台が同一の部屋内にない場合、居室間を超えて換気されていないのではないか?という疑問が寄せられています。 このためここでは、同一の部屋内に2台がなくても、空気が循環していることを証明するため実験動画をご紹介したいと思います。

それぞれの動画を見ていただければ、しっかりと2台が給気と排気を繰り返し、空気が置き換わっていることを確認いただけると思います。

ヴェントサンの最大の特徴、給気温度のコントロールとは?

ここから、ヴェントサンの最大の特徴を説明したいと思います。
それは、給気温度のコントロールと凍結の防止機能です。

一般的に、ダクトレスの換気システムはファンが小さく、外気温が0度のような寒い日だったり、北風が最も厳しい日というのは、室内に入ってくる温度が下がりやすい傾向があります。外であまりにも強い風が吹いていると、ファンが負けてしまうことがあるのです。
ヴェントサンの場合は、これがありません。
エレメントを通じて空気が室内に入ってくるとき、温度がもしも摂氏5度以下で入ってくるような事態になれば、温度計がそれを感知し、自動に再度排気する運転を行なってエレメントを温め直すという機能がついているからです。摂氏5度以下の空気が入ってくる700秒間排気を続け、エレメントのセラミックスを温めます。こうすることで、室外から室内に入ってくる空気を温め、冷たい空気が入らないようにしているのです。
なお、ペアとなるもう一台は通常運転をし、70秒ごとに給排気を繰り返しています。 一時的に室内は負圧になりますが、換気不良になるほどの時間ではないので、熱交換効率を優先しているのです。

通常の熱交換装置の場合ですと、どういう状況下であっても、どういう温度であっても70秒おきの熱交換を繰り返しますが、ヴェントサンは、自動的に温度のコントロールを行うのです。
これがまさに、給気温度のコントロール。 ヴェントサンならではの特徴と言えます。

しかし、この特徴が発揮されるには、条件があります。熱交換換気は全て、家の中の温度が、22~24℃程度になっている必要があるのです。
というのも、空気を温める時エレメントそのものに暖房機能があるわけではなく、22〜24℃に維持された室内の温まった空気を当てることによって温めるからです。 熱交換換気は、ダクト型も含め、家の中の温度が熱源になります。そのため、断熱性能の高い家に設置して初めて性能を発揮するというわけです。
家中、どの部屋も温度が一定になっていること、また、家の中の温度が18℃以上にないと熱交換システムの機能は発揮されません。 最低でもC値1以下の住宅、理想は0.5以下の住宅で、その性能が担保されるため、気密や断熱性能が弱い家では、せっかく熱交換システムを設置したとしても無駄になってしまうのです。

ドイツにおける換気事情

ここに、2021年のドイツにおける、住宅市場調査のデータがあります。
普及している住宅用換気設備は、大きくグループに分けると、
Central with HR(ダクト型熱交換換気システム)
Decentral(ダクトがないタイプの熱交換換気システム)
Without HR(普通にトイレなどに設置されているベーシックな換気扇のパイプファン) の3つに分かれます。

シェアが最も高いのは、ダクトレスのDecentralで、36.6%(2020年)のシェアを持ちます。
これは新築・リフォーム、リノベーションを含め、ほぼ3分の1の物件に、Decentralが採用されていることになります。そして、36.6%を占めるDecentralの中で、さらに21%のシェアをもつ占有率ダントツ一位のメーカーこそが、同社が総代理店を務める、インヴェンター社のヴェントサンなのです。

では、日本ではどうかというと、改正社長は、「感覚的にベーシックな換気扇、Without HRが85%を位を占め、Decentralに至っては、2〜3%程度に過ぎないのではないか」と話します。
つまり、熱交換型の換気システムというものは、ドイツでは一般的であるのに対して、日本では、まだ特殊な商品という位置付けになっているのです。

しかし実は、2019年ごろまではドイツでもダクト型の方がダクトレスより売上が大きかったそうです。しかし、研究機関による検査結果が学会で発表され、ダクトレスの熱交換率がダクト型のそれを上回ることが証明されたことで一気にダクトレスが普及。加えて、ダクトレスの方が施工が簡単なことも普及を後押ししました。移民の多いドイツでは、職人さんにも移民が多く、施工の容易さが、現場を管理する監督にとってもありがたいことだったのでしょう。結果、この5年で一気にダクトレスがメジャーとなりました。

では、日本では今後どうなっていくのでしょうか。
これについても改正社長は、こう分析しています。 「ダクト型、ダクトレス、どちらを選択するかの議論はまだ先になると思いますが、熱交換型の換気システム自体の普及は徐々に広まっていくと考えます。先ほども説明したように、熱交換システムを採用するには、そもそも家自体が断熱されていなければなりません。しかし今後、家の断熱化は確実に進んでいくと考えられるため、熱交換型も加速度的に普及してくるのではないでしょうか」

フィルターの交換・メンテナンス

フィルターには、交換時期を知らせるお知らせランプがついています。こうした機能は他メーカーにもありますが、ヴェントサンがより優れているのは、フィルターの汚れが横から見えてしまう、という点にあります。

つまり、「気になる」ということです。
たとえば、お客さまが来られるタイミングや、家の掃除をしている時に、「今掃除しよう!」という気持ちになるのです。これは定期的なフィルター交換を促す際にとても重要な要素となります。また掃除も簡単で、掃除機で汚れを吸い込む、またはフィルターを水洗いするといったもの。
フィルター自体は、取扱説明書についているQRコードから、Amazonに飛べるようになっており、そこで利用者自らが購入できる仕組みになっています。花粉などがひどい時期は、花粉除去専用のフィルターを取り付けることも可能。水洗いして再利用することも、新しく付け替えることもできます。

建物が建つ立地条件、外部環境にもよりますが、フィルターの標準的な耐久期間は、3年ほど。とはいえ、1年に1回程度の交換が推奨されています。フィルターの費用は、2枚で4500円(税込み)です。

熱交換型換気システムの解説、いかがでしたでしょうか。
ドイツでは一般的、日本ではまだまだこれから、という高性能なヴェントサンですが、ウェルネストホームではドイツ同様当たり前に設置しています。
全国各地のウェルネストホームのモデルハウスでこの構造や仕組みを体感できますので、ぜひお近くのモデルハウスまで遊びにきてください!

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