北海道の持続可能な新しいまちづくりプロジェクト ニセコミライの進捗と今後の展開
地域課題の住宅不足や人手不足を解消し、地域内の経済循環を強化しながら省エネと再エネを強力に促進するまちをつくるプロジェクト「ニセコミライ」が、北海道・ニセコ町で始まっています。
ウェルネストホーム創業者の早田が代表理事を務める一般社団法人クラブヴォーバンが「ニセコミライ」の基本構想、基本設計業務を受託していく中で、実施主体の必要性から立ち上げた「株式会社ニセコまち」としてプロジェクトに参画。また、主に建築担当として地域の工務店さんらへの技術研修等も行いながら、工事が進むに連れて関わりが増えております。また、私たちは、ニセコエリアというリゾートエリアにおいて、ウェルネストホームの技術を生かした高性能賃貸住宅やコンドミニアムタイプの住宅などの建築なども手掛けております。
今回の記事では、現代社会のモデルとなるような地域における持続可能なまちづくりの概要とプロジェクトの進捗、今後の展開についてご紹介します。
contents
プロジェクトの舞台・ニセコ町とは
豊かな自然と観光資源が魅力
北海道後志管内のほぼ中央に位置するニセコ町が、プロジェクトの舞台。
東には国立公園羊蹄山、北には国定公園ニセコアンヌプリを始めとしたニセコ連峰がそびえ立ち、中央には一級河川の尻別川が流れています。
世界に誇るスノーリゾートが有名ですが、夏季はカヌーやラフティング、ゴルフやトレッキングなどのアクティビティ、豊富な数の泉質を誇る温泉地を目当てに環境客が訪れる自然豊かなエリア。観光以外にも、酪農や米やじゃがいもなどの農業も盛んで、近年では食品関連の企業が進出するなど注目を集めています。
子どもの数が増加傾向にある
ニセコ町では近年、人口が増え続けています。全国に先駆けて自治体に「ニセコ町まちづくり基本条例」が施行されており「情報共有」と「住民参加」を大切にしたまちづくりが進んでいることや、インターナショナルスクールがあることなどから、教育移住先としても注目を集め、子どもの数が増加傾向にあるのです。
札幌からのアクセス良好で利便性が高い
ニセコエリアでは札幌とつながる高速道路が延伸工事中。新幹線の延伸工事も進行中で、新函館北斗駅から札幌駅間の2030年度末までの開業を目指し、建設工事が進められています。開通後は東京や札幌からの移動がますます便利になることから、将来の発展に期待が寄せられています。
さまざまな魅力を持っているニセコ町では、年々エリア価値が高まりを見せています。
構想段階のアンケートで見えた住民の暮らしの課題
事業を構想するにあたって、2度のアンケート調査とテストマーケティング、住民参加型の説明会を実施。結果から、過半数を大きく超える数の住民が将来的な住み替えを検討していることが分かりました。
ニセコ町の住民を対象にしたアンケートでは、「住み替え検討の主な理由」という設問に27%が「冬でも暖かくて快適な家に住みたいから」、「除雪や庭の手入れなど維持管理が大変になってきたから」、26%が「高熱費を抑えたいから」と回答。
調査を経て分かった住民の課題を解決するため、ニセコミライが発足し、コンセプト設計が行われていきました。
ニセコミライの概要と8つのコンセプト
ニセコミライは、ニセコ町を舞台とする先進的なまちづくりプロジェクト。
町内の民間事業者、専門知識を有する事業者らと一緒に出資して立ち上げた「株式会社ニセコまち」と、私たちウェルネストホームを含めた複数の企業や自治体が一丸となって、官民連携で実施しています。
2018年には「NISEKO生活モデル地区構想事業」として、内閣府地方創生推進室がSDGsの達成に取り組んでいる都市を選定する制度「SDGs未来都市」に選ばれました。
ニセコ町の市街地に隣接する9ヘクタールの敷地を第1〜4工区に分割し、約10年間にわたって開発。ニセコ町の課題だった住宅不足や人手不足を解消し、地域内の経済循環を強化しながら省エネと再エネを強力に促進するまちづくりを目指しています。
エリアには防火・防音の効果を高めた分譲と賃貸の集合住宅、産業や文化を守るエネルギーセンターやアトリエを建設予定。また、人々が集うシェアハウスやランドリーカフェ、子どもたちがのびのびと走り回れる広場も設置します。
ニセコミライでは、次の8つのコンセプトを掲げています。
人口増加圧力への対応
今後さらなる住宅不足が予測されるニセコ町。高性能な分譲と賃貸の集合住宅を建設します。
適度な人口密度の確保
9ヘクタールの敷地を活用し、住民がそれぞれの暮らしを楽しめる、適度な密度を保てるまちづくりをデザインします。
緑のインフラ整備
子どもたちがのびのびと走り回れる広場の整備など、豊かな自然を有効活用します。
超省エネの建物
ウェルネストホームが中心となって、厳しい冬の寒さでも最小限の光熱費で部屋の隅々まで暖かく快適な住環境を提供します。
再エネ、地域熱供給の活用
地球環境に配慮したエネルギー利用で、持続可能な暮らしのあり方を追求します。
既存の地形や植生を生かす
長く暮らすニセコ町の住民にも愛着を持ってもらえるよう、本来の魅力を最大限に生かします。
活発な人的、社会的な交流
老若男女にとって暮らしやすく、思わず日常会話が弾むような設備設計を実現します。
単に街を整備するのではなく、8つのコンセプトをもとに課題を解決するために発足したプロジェクトがニセコミライ。今後他のエリアのモデルとなれるような「持続可能なまちづくり」を目指しています。
ニセコミライの集合住宅3つの特徴
エリア内は分譲と賃貸の集合住宅のみとなっており、私たちウェルネストホームが手がけています。全て「木質化マンション」と名付けた木造で、木が持つ本来のよさを最大限に引き出すことで、入居者にも地球にも優しい、全く新しい集合住宅を形にします。
特徴1:職人・工務店とこだわり抜いた高性能住宅
従来基準よりも優れた性能を取り入れ、建物が長寿命であるからこそ所有者にとって資産価値の高い住宅を実現します。
数十センチの分厚い断熱材や高性能なトリプルガラスを使用し、防火・防音効果を高め、耐久性も保証します。
特徴2:除雪対応や電気代も共益費に含まれる経済的な住宅
除雪対応の必要がなく、雪かきがしにくくなった、手が回らないという方にも安心してお住まいいただけます。
また気密性の高い住宅のため、部屋数に関係なく1戸につきエアコン1台の稼働で快適に過ごせて経済的です。さらに屋根の上には、太陽光発電のパネルを設置して住戸や共有部に電気を供給。電気代が共益費に含まれている点も、大きな特徴です。
特徴3:寒暖差のストレスやヒートショックをなくす健康への配慮
部屋の温度や湿度が一定に保たれ、結露や過乾燥が起きにくい設計で統一されています。寒暖差ストレスはもちろん、ヒートショックの心配も無用です。結露が引き起こす腐食を防ぎ、カビやダニも発生しにくく、衛生面も安全です。
2022年に実施した3つの取り組み
ニセコミライでは2022年度から造成工事が開始されており、大きく4つの取り組みと成果がありました。
取り組み1:造成工事
第1〜4工区に分けて敷地内の建築物に着工するにあたって、高さがある土地の造成工事を行いました。
取り組み2:広報活動
ニセコミライの取り組みが不動産情報サイトやTV、ラジオ、地域紙にて取り上げられました。シンポジウムに登壇する機会もあり、さまざまなメディアで認知拡大を測っています。
取り組み3:「モクレ ニセコ A棟」全室完売
第1工区に建設する木造レジデンシャルマンション「モクレ ニセコ A棟」。3LDK、2LDKの全8戸、それぞれ4,900万円(税込)〜5,800万円(税込)にて販売しました。単純な分譲マンションと異なり、ニセコミライの理念に共感してくださった方にだけ販売を行いました。2023年冬からは、分譲B棟、分譲C棟の販売も開始をしていく予定です。
ニセコミライの今後の展開
すでに「モクレ ニセコ A棟」などの建設が進んでいる第1工区と、2024年に着工予定の第2区は、それぞれ2026年の完成を目指します。
第3、4工区については2025年以降、住民の声や世情をキャッチしながら柔軟に進めていく予定です。
構想を形にするだけではなく、他地域におけるまちづくりのモデルケースとして展開していくニセコミライ。
今後も私たちウェルネストホームを含め、関係者全員が一丸となって前人未到のまちづくりに挑戦していきます。
まとめ
いかがでしたか?
今回の記事では、現代社会のモデルとなるような持続可能なまちづくり「ニセコミライ」の概要と進捗、今後の展開についてご紹介しました。
ニセコミライを担う「株式会社ニセコまち」に関わるメンバーの想いは、こちらの動画をご覧ください!
今後も、ウェルネストホームが参画するさまざまな事業や高性能住宅にご期待ください!