ウェルネストホームは床下エアコンをなぜ採用しない!?
床下エアコンの「とあるデメリット」について早田宏徳が解説します!
住宅の床下にエアコンを取り付け、室内を温める「床下エアコン」。近年注目を集めている空調システムです。しかし、ウェルネストホームでは床下エアコンを採用していません。その理由とはどういったものなのでしょうか。
そこで今回は、WELLNEST HOMEの代表取締役創業者である早田宏徳が、床下エアコンの「とあるデメリット」について解説します。
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「床下エアコン」の今
今、「床下エアコン派」は多くなってきています。しかし、ウェルネストホームでは床下エアコンを採用していません。
でも、決して床下エアコン自体を否定するわけではありません。いわゆる床暖房設備を使わなくても、床下にエアコンを付けることで1階の床がほんのり暖かくなる。これを私は否定したいわけではないのです。
床下エアコンの弱点とウェルネストホームの対策
ただ、私が床下エアコンにちょっと弱点があるとするならば、「防腐・防蟻対策」への不安があります。あともう1つ、床上浸水の心配もありますね。私は床下というのはやはり原則「家の外」だと思っており、それをふまえて「外」としての対策が必要だと考えているのです。
ウェルネストホームの防腐防蟻対策
そこでウェルネストホームでは、「床下に風を通す」ことを重視しています。簡単にいうと、「シロアリは床下までは来るけれど、その上には一切上がれないようにする」という考えです。
そのため、すべてを防腐・防蟻処理されている「緑の柱」と「緑の土台」にし、基本的に無機質の材料を使います。シロアリが上がって来るのを防ぐのと同時に、床下自体がシロアリにやられないようにする。これが、私の一番の狙いです。
また腐れについても、ウェルネストホームの家なら問題ありません。特に床下に関しては、日野市の東京日野モデルハウスでデータを取って検証しているからです。
たとえば梅雨真っただ中の2024年7月13日の状況を見てみると、床下の温度は大体20℃ぐらい。外の温度は30℃、湿度は90%もあります。これは、かなりの「湿潤状態」です。そのため、「カビが生えるんじゃないか」などいろいろ言われることもあります。
だからこそ私どもは、それをふまえて「緑の柱」をはじめ、すべて腐らないものを使っているわけです。「床下浸水が起こる」「シロアリにやられる」といったリスクは当然あるものと考えているからこそ、床下エアコンに欠かせない基礎断熱を採用していないのです。
北海道でもシロアリ対策が必要
床下エアコンは「基礎断熱」が前提です。基礎断熱をして、床下を乾燥した状態にする。そこにエアコンを付けますよね。でも、そこで「その家は大丈夫なのか?」という疑問が生じます。「1階の床下に、防腐・防蟻処理材をまかないのか?」「まかないかぎり木はシロアリにやられてしまうけれど、それはどうするのだろうか?」と……。
最近では、北海道の旭川でもシロアリがいるのが実状です。そのため、ウェルネストホームが携わっている北海道ニセコ町の2,000平米の分譲地も、外周まで全部「緑の柱」を使っているのです。
これからは、やはり「緑の柱」が基本になるでしょう。今後は北海道でも、シロアリ対策に防腐処理材を使った方がよいと思っています。なぜならウェルネストホームは、「住宅を100年長持ちさせる」と打ち出している会社ですから。
前提は「住宅を100年長持ちさせる」こと
もし、「家を建ててもどうせ30年、40年で壊すし、シロアリが来たら来たで仕方がない」というような刹那的な家のつくりり方をするのであれば、床下エアコンでいいと思います。簡単に付けられますしね。1階の床を暖房で温めて、2階の冷房で除湿するといった形ですね。
でもウェルネストホームは「住宅を100年長持ちさせる」のが前提ですから、それは採用できません。
ちなみに福岡の住宅会社である、エコワークスさんでは、全部「緑の柱」を使っています。1階の柱も土台もすべて「緑の柱」である上での床下エアコンなので、よいのではないかと思っています。ですから、エコワークスさんの床下エアコンを否定しているわけではありません。
そこまでしていない、「一般的にシロアリにやられそうな構造材を使いながら、床下エアコンを付ける」のは、不安だという話です。
ですが「住宅を100年長持ちさせよう」とは思っておらず、「大体30~40年で建て替えるもの」という考えなのであれば、床下エアコンもよいでしょう。これは、考え方の違いです。どちらが良い悪いというよりは、「家づくりにおいて何を大切にするか」観点的な話になるでしょう。
繰り返しますが、私は床下エアコンを否定しているわけではありません。コストも非常に安く、床もほんのり暖かくなって快適だと思いますから。ただウェルネストホームでやらないのは、やはり「シロアリや腐れのリスクをふまえ耐久性の不安があるため」なのです。
多くのエネルギーを消費する床下エアコン
そもそもウェルネストホームの床は、床下エアコンを使わなくても暖かいのが特徴です。仮に「緑の柱」とセットにしたとしても床下エアコンを必要と考えない理由は、ここにもあります。
また家の中を快適にするなら、要は1階の気積(室内の空間の総量)と2階の気積を温めたり冷やしたりするだけでいいのですが、床下まで温めることでより多くのエネルギーを消費する点も気になります。しかも床下というのは建物の「基礎」であり、基礎はコンクリートでできているため温めるにはたくさんの熱が必要です。
たとえば石焼ビビンバの器を温めるには、ガスに20分ほどかけなければいけません。それと一緒で温めるのに時間がかかるし、一度温まったら冷えない。逆に一度冷やしたら温まりにくいので、ものすごくエネルギーの投入量が大きくなるのです。
だからウェルネストホームは、「温めたり冷やしたりするのはフローリングから上だけにして、エネルギーを抑えたい」と考えています。しかし、もしも無料のエネルギーだけで床下を温められる仕組みができるのであれば、それはよいですよね。
100年後の地球環境までを考えた家づくり
これから100年後の地球環境を考えたとき、シロアリはものすごく猛威をふるうだろうし、腐朽菌・腐れ菌ももっといろいろなものが出てくるだろうと思っています。また、雨がふったときには降水量も増えるでしょう。
そのときに、もう「床下浸水は仕方がない」として、床下は水が入って来てもいいようにしなくてはいけない。「外」である床下に対し、「外」としての対策をとる必要があると考えているのです。
それでも、もし2mぐらいの基礎を打てるのであれば床下も使いたいですよね。それは昔、私も軽井沢でやっていたことです。基礎を1.5m、2mなど深くして、その下にしっかり基礎断熱をし、お部屋ではないですが収納庫にしていました。もちろんしっかり防水をして、基礎断熱をする。そういったふうにするのならよいと思います。
カギとなるのは家の性能
ウェルネストホームの家は、高気密・高断熱の高性能住宅です。そのため基本的に夏は涼しく冬は暖かいため、最低限の空調のみで家中が快適に保たれます。「足元が冷たい」といったこともないので、そもそも「床を温める」必要もありません。こういった背景もあり、床下エアコンの導入を検討する理由もなかったともいえるでしょう。
つまり、家そのものの性能が高ければ、最低限の設備で「お得に」「快適な」生活が送れるということです。たくさんのエネルギーを使うこともなく、床下エアコンが不要な家、それがウェルネストホームの家なのです。
まとめ
ここまで、床下エアコンのデメリットや、床下エアコンに対するウェルネストホームの考えなどをご紹介してきましたが、おわかりいただけたでしょうか? 床下エアコンを必要としないウェルネストホームの家がどれだけ快適なのか、ご興味のある方はお気軽にお問い合わせください。
※早田宏徳による床下エアコンのデメリットについて解説は、こちらの動画でもご覧いただけます。ぜひご覧ください。