2×4の耐震性能にまつわるウソとホント
その耐震性は30年後も維持できるか?
住宅の購入を考えている方ならば、ツーバイフォー(2×4)工法という言葉を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
しかし、正確に意味を分かっていらっしゃる方は少ないですよね。
家づくりを少し勉強された方でしたら、「ツーバイフォー(2×4)工法の家は耐震性能が高い」という話も聞いたことがあるはずです。しかし、皆さんが耐震性能を本当に求めているならば、この情報を鵜呑みにしてツーバイフォー(2×4)工法の家を買うのはちょっと危険ですよ。
この記事を読んでいただければ、「なぜツーバイフォー(2×4)工法の家の耐震性能が高いと言われてたのか」が正確に理解できるでしょう。
皆さんのこれからの家づくりの参考にしていただければ幸いです。
私たちWELLNEST HOMEは、日本で古くから採用されている在来工法(木造軸組工法)で家を建てており、耐震等級3を基準とした長持ちする家づくりを手がけております。弊社の家づくりについての詳細は、以下のページからご覧いただければと思います。
※WELLNESTHOME創業者の早田がyoutubeチャンネルでツーバイフォーを解説している動画はこちら
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2×4(ツーバイフォー)はどんな住宅か?
2×4(ツーバイフォー)とは、住宅の建築工法のことです。一定寸法の「角材」とベニヤなどの「合板」を組み合わせて1枚のパネルになります。このパネルを貼り合わせて壁、床、屋根とし、住宅の骨組みをつくります。
このパネルは、工場で組み立てられてから建築現場に運び込まれます。そのため、現場でいちいち職人さんが手作業で組む必要はありません。
ちなみに、2×4(ツーバイフォー)の中の「2」と「4」の数字は、パネルの素材となる角材の「インチ数」のことです。角材のインチ数に応じて、2×6(ツーバイシックス)、2×8(ツーバイエイト)といった形で呼ばれています。いずれにしても、角材が規格化されているという点は同じなわけです。
2×4(ツーバイフォー)の特徴はとにもかくにも【生産性】
2×4(ツーバイフォー)を特徴づけるものは、兎にも角にも「生産性の高さ」です。
それもそのはずですよね。日本の古くからある木造の建築物は、柱と梁、筋交いを骨格にした在来軸組工法でつくられていました。この工法ですと、木材を建築現場に運び、一本一本を熟練の職人が丁寧に組み立てていました。
しかし、2×4(ツーバイフォー)はまったく異なります。
- 角材は規格化されたものを工場で大量生産できる
- パネルを工場で組み立てて建築現場に運ぶ
これによって、熟練の職人による手作業がなくても、住宅を大量に生産できるようになったのです。
2×4(ツーバイフォー)は、元々は1830年代に初めてアメリカで開発された工法です。第二次世界大戦後には、住宅の大量供給に対応すべく、日本国内でも2×4(ツーバイフォー)が普及しだしました。
2×4(ツーバイフォー)の耐震性能が高いといわれる理由
ちょっと住宅の知識をかじった方ならば、「2×4(ツーバイフォー)は耐震性能が高い」と言う謳い文句を聞いたことがあるでしょう。
これってなぜだと思いますか?
簡単にいえば、2×4(ツーバイフォー)は建物全体で揺れを支えているからです。この辺りはダイヤフラム理論というちゃんとした理屈があるのですが、少しややこしいのでここでは省略します。
日本古来からある在来工法は、点で建物を支える構造となっています。点というのは、柱と梁、柱と土台、筋交いといった接合部分です。こうなりますと、揺れの力が点に集中します。柱が支えきれなくなれば、当然ながら建物が倒壊します。
一方、2×4(ツーバイフォー)は壁、床、屋根がそれぞれ1枚もののパネルになっています。これを釘や金物でとめれば一体ものの六面体です。つまり、建物全体で揺れに抵抗する造りになっているのです。
耐震性能の高さは工法の違いではなく耐力壁の配置の問題
ここまでの話は、ネットで検索すればどこの企業様でもお話しされていることです。
この話を聞くと、「やっぱり2×4(ツーバイフォー)の方が耐震性能が高いんだ」と納得してしまうかもしれません。しかし、2×4(ツーバイフォー)ではなく在来工法であっても耐震等級3の耐震性能を出すことはできます。
(現に弊社の住宅は在来工法で建てておりますが、耐震等級3を実現できています)
問題になるのは、工法ではなくて「耐力壁」の配置です。耐力壁とは、地震や風による横からの力を支えてくれる壁のことです。2×4(ツーバイフォー)の場合には、パネルの一枚一枚が、耐力壁としての役割を果たしているため、建物全体としての耐震性能が高くなります。
在来工法であったとしても、柱の外側に耐力面材を施工することで、耐震性能を引き上げることは可能です。弊社の住宅は在来工法ですが、柱の外側にモイスという耐力面材を施工させていただいております。
建築基準法における耐震基準は耐震等級1となっておりますが、WELLNEST HOMEでは全棟で耐震等級3を基準として家を建てさせていただいております。
誤解しないでいただきたいのですが、耐力面材さえ設置すれば耐震等級3を実現できるわけではありません。これにつきましては、家づくりラボの記事「耐震等級3」が必要な理由とは?【木造住宅の耐震に関する勘違い】をご覧いただければと思います。
2×4(ツーバイフォー)を買うならば耐震等級だけでなく耐久性にも注目すべし
皆さんが求めているのは、「地震が来ても壊れない家」だと思います。そこで多くの方が注目するのが耐震性能です。しかし、耐震性能だけでなく耐久性にも注目していただきたいのです。
木造住宅でいちばん怖いのが、木材の腐れとシロアリ被害です。これは在来工法と2×4(ツーバイフォー)のどちらにも言えることです。2×4(ツーバイフォー)で面材としてよく使われるのがベニヤ板です。ベニヤ板は当然ですが木材です。そのため、湿気や結露で腐ります。シロアリに喰われます。
ベニヤ板と角材はどちらも木を強制乾燥して作られた死んだ木材です。木は本来ならば湿気を吸ったり吐いたりできるのですが、こうした木材からは吸放湿性能が失われています。
腐れやシロアリ被害があったとしたら、新築時と同じ耐震性能がキープできるでしょうか?答えはノーですよね。
地震に強い家をつくるならば、耐震性能だけでなく、耐久性(木材の腐れとシロアリに強いかどうか)にも注目していただきたいのです。
「2×4(ツーバイフォー)は気密性が高い」という説は本当か?
家の耐久性を高める上で何よりも大事なのが、気密性です。気密性を高めなければ、壁の中に湿った空気が入り込んでしまったり、結露ができたりするからです。
「2×4(ツーバイフォー)は在来工法よりも気密性が高い」
皆さんはこのような噂を耳にしたことがないでしょうか?ネットで検索すれば、2×4(ツーバイフォー)は気密性が高いと宣伝している住宅メーカーさまを多く見かけます。しかし、「本当にそうなのだろうか?」と私たちは疑問に感じることがあります。
2×4(ツーバイフォー)の気密性が高いと言われる理由
まず前提として、なぜ2×4(ツーバイフォー)は気密性が高いといわれるのでしょうか?
それは、この工法が壁、床、屋根のパネルを組み合わせるだけのシンプルな構造だからと言われています。つまり、「隙間ができる箇所がパネルとパネルの接合部しかない」のが気密性の高さの理由だというのです。
しかし、本当にそうなのでしょうか?
2×4(ツーバイフォー)は思った以上に隙間ができやすい
2×4(ツーバイフォー)で隙間ができる箇所といえば、本当にパネルの接合部だけなのでしょうか?
残念ながら、そのようなことは決してありません。パネルのつくりをどうなっていたかをイメージしてみてくださいね。パネルは2インチ×4インチの角材とベニヤなどの合板を組み合わせてつくられています。
そうなると、当然ながら角材と合板の間にも隙間がありそうではないですか?これらが木材でできているならばなおさらです。木材は暖かいと膨張し、寒いと縮むという性質があります(これは何も木材に限った話ではありませんが)。そうなると、冬になれば角材と合板が縮んで隙間ができると思いませんか?
また、合板と角材を留めているクギにも注目してください。地震などで家が揺れれば、クギも緩むのです。クギが緩めば、当然ながら合板と角材の間に隙間ができるはずです。
2×4(ツーバイフォー)は北米で生まれた工法です。北米で生まれたこの工法が、地震が頻繁に発生する日本の環境を想定して作られたものでしょうか。国道沿いでトラックやバスが通るだけで大きく揺れる家を見かけたことがありませんか?あの家がすべて2×4(ツーバイフォー)かどうか分かりませんが、たかだかトラックやバスの通過くらいでガタガタ揺れるような家が、地震に強い家とは到底思えません。
こうしたことを考えると、2×4(ツーバイフォー)が気密性が高いという説は、果たして本当なのかと疑問になります。
WELLNEST HOMEの家はどのように耐久性を高めているか?
では、もっとも肝心な「耐久性を高めるポイントって何だ?」という話ですよね。それについても、しっかり触れていきますね。
とはいえ、家の耐久性をテーマに語り出すとキリがありません。数ある要因の中でも、この記事で主に話題に挙げられている気密性、木材(構造材)と耐力壁について説明したいと思います。
①室内外の気密対策を行いC値0.2㎠/㎡の高気密を維持している
弊社の家では、室内外の両方に気密層を設けております。湿った空気は、より乾燥している方へ移動しようとするのです。そのため、夏は外の湿った空気が家の中へ、冬は加湿器や生活などで発生した湿気が、外に流れ出ようとします。そのため、内側と外側の両方に気密層がないと、湿気が壁の中に入り込んでしまうのです。
弊社の場合には、壁の中にセルロースファイバーという断熱材を充填していますが、セルロースファイバーの内側(室内側)に気密層を設けています。さらに、柱の外側にはモイスを設置し、その外側にロックウールを外断熱材として設置しています。一般の多くの住宅のように、通気層は設けていません。
弊社の家は木造の在来工法でつくっていますが、こうした気密対策を丁寧に行うことで、C値平均0.2㎠/㎡という国内で最高水準の気密性能を発揮することができるのです。
築年数が経ったWELLNEST HOMEの家で気密測定も行なっていますが、C値が新築時から変わることがないということも検証済みです。弊社の香川にある伏石モデルハウスは、築年数が6年経った今でも気密測定を行なっておりますが、新築時から気密性能の劣化はありません。より詳しい情報をお知りになりたい方は、直接弊社まで問い合わせいただければと思います。
②緑の柱で腐らない・シロアリに喰われない
緑の柱という材料をご存知でしょうか?
これは、コシイプレザービングという会社さまが作られている構造材です。その特徴は、冒頭にあげた通り、湿気で腐ることがなく、シロアリにも喰われないことです。国産の無垢材に対してマイトレックACQという独自開発の薬剤を注入することでつくられています。
マイトレックACQの中に含まれている銅化合物と塩化ベンザルコニウムという物質が、腐らない・シロアリに喰われない構造材を成り立たせているのです。弊社におきましても、緑の柱を長期間にわたって野ざらしにして腐れを確認する実験を行ってまいりました。
左:加圧注入木材(ウェルネストホームの木材)、右:塗布処理の木材(一般的な木材)
緑の柱につきましては、家づくりラボの記事シロアリ対策予防工法のデメリットを比較!緑の柱はもう古い?【新築を建てる人必見】に詳しく書きました。
③モイスで建物の吸放湿性能を高めている
先ほど、耐力面材としてモイスを話題にあげさせていただきました。
ただし、弊社がモイスを使っている理由は、耐震性能をあげるためだけではありません。
モイスを使うもう一つの大きな理由は、その吸放湿性能の高さにあります。皆さん、珪藻土の足拭きマットを利用したことはありませんか?お風呂から上がってマットに足をのせたら、すかさず水分を吸収してくれるではありませんか。
珪藻土マットが水分を吸収してくれるのは、珪藻土が多孔質な構造になっているからです。多孔質ということは、表面積が非常に大きく、より多くの水分を表面に吸着してくれるのです。
実は、耐力面材として使うモイスも、珪藻土と同じように多孔質の物質です。そのため、モイスは湿気を大量に吸ってくれます。
ここからは余談ですが、吸放湿性能のある材料はモイスだけではありません。充填断熱で採用しているセルロースファイバー、無垢材も湿気を吸ったり吐いたりしてくれます。弊社が建てる住宅は、発生する湿気の量も計算の上で、どの材料を・どこに・どれくらい配置するかも検討しているのです。
この辺りの吸放湿性能に関する話も、語り出すとキリがないくらいです。詳しいことは、ぜひ家づくりラボの記事湿度を快適に維持する家づくり3つの条件を読んでいただければ幸いです。
まとめ
「ツーバイフォー(2×4)とは何か?」から始まり、ツーバイフォー(2×4)の耐震性能を中心にお話ししましたが、いかがでしたでしょうか?
ツーバイフォー(2×4)だから特別に耐震性能が高いわけではありません。さらに、地震から家を守るためには、耐震性能だけではなく耐久性(腐らない・シロアリに喰われない)にも注目しなければなりません。
ツーバイフォー(2×4)に興味があるという方は、今回お話ししたことを考慮の上で、家探しの参考にしていただければと思います。
私たちWELLNEST HOMEは、健康・快適で100年先まで長持ちする家を作り続けています。弊社の家づくりについての詳細は、以下のページからご覧いただけます。