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実は、環境と睡眠を研究する共同事業に参画しているウェルネストホーム。 その取り組みについて詳しくご紹介します!

実は、環境と睡眠を研究する共同事業に参画しているウェルネストホーム。 その取り組みについて詳しくご紹介します!

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人生の3分の1を占めると言われる睡眠。
しかし残念なことに国民の半数以上が、睡眠の質に関して満足していないという調査結果が明らかになっています。調査結果の詳細は前回の記事、短時間睡眠が死を招く?! 日本人の睡眠がいま危ない!快適な睡眠を実現するウェルネストホームの家をご参照ください。

今回は、よい睡眠を実現するべく研究を続ける、一級建築士で山形大学睡眠マネジメント研究センター 副センター⻑の木村文雄さんに「住まいと睡眠」の関係について話を聞きました。
木村さんは山形大学工学部の客員教授として活躍される傍ら、ウェルネストホームの設計部門をサポートし、快適な睡眠を得るための寝室設計の研究と開発に力を入れています。

プロフィール
木村 文雄 Fumio Kimura

山形大学工学部  客員教授
1976年3月 芝浦工業大学工学部建築学科卒業。
同年4月積水ハウスに入社。住宅設計、3D-CAD開発、販売促進、商品企画、研究開発などに携わり、2006年4月、東京都国立市に実験住宅「サステナブルデザインハウス*1」を設計・建設しパッシブでエコロジーな住宅の研究を行う。*1(第4回キッズデザイン賞 優秀賞、第10回 環境設備デザイン賞 優秀賞) サステナブルデザインラボラトリー所長、納得工房長、総合住宅研究所長を経て、2013年3月に定年退職。

同年4月より近畿大学建築学部教授に就任。サステナブルデザイン研究室を設立し、持続可能社会に求められる住まいづくりについて研究。住宅建築専攻長を務め、2019年3月定年退任。
2016年9月より山形大学工学部特任教授を兼任し、米沢市に実験住宅「スマート未来ハウス」を設計。有機ELを住まいに有効に活用する手法について研究。2023年3月に定年退任。
同年6月より同大学 客員教授に就任。現在に至る。 山形大学 睡眠マネジメント研究センター 副センター長

――ウェルネストホームは、睡眠研究にも力を入れているそうですね。

木村 実は2021年に山形大学に睡眠マネジメント研究センターを創設しました。そのセンターの活動の一つとして、快眠を妨げるさまざまな睡眠課題をアカデミックに解決していくための新しい共創の場として「Good Sleepコンソーシアム(ぐっすりコンソ)」を立ち上げ、このコンソーシアムにウェルネストホームも会員企業として参画しています。

――睡眠マネジメント研究センターの設立の目的はなんでしょう?

木村 これまで睡眠に関する研究はいくつかの大学や企業などで行われてきたものの、それらの知見がそれぞれの研究機関に分散して蓄積されており、一箇所に集約されていないという課題がありました。これらの専門的な研究成果を統合し社会的な意義を創出させようという目的で生まれたのが、このセンターになります。センター長は山形大学工学博士の山内泰樹教授で、私が副センター長を務めています。

――センター設立の背景にある社会課題とは?

木村 よい睡眠をとることの重要性を実感している方は多いと思います。日本人は諸外国に比べて睡眠時間が少ないばかりか、睡眠の質に満足できていない人が半数以上いるというデータもあります。
質のよい睡眠が快適な生活に関係することは言うまでもありません。「睡眠負債」という言葉が流行語になってしまうほどの現代において、睡眠環境の改善は急務と言えるでしょう。

――なぜ山形大学なのでしょう?

木村 山形大学には有機EL(Electro Luminescence)を発明した科学者の第一人者である、城戸淳二教授がいらっしゃいます。そのことから、山形大学自体が“有機エレクトロニクスから「有機材料システム」の世界屈指の研究開発拠点へ”という目標を掲げ、長年にわたって研究活動を続けてきたという経緯があります。地元企業と産業クラスターを形成し、1997年には、世界で初めて有機ELの製品化に成功、2008年にはこれまた世界初になりますが、照明用有機ELパネルの専業会社も設立にも関わってきています。
また、工学部だけでなく農学部・医学部・理学部・地域教育文化学部等を擁する総合大学として、さまざまな側面から研究を積み重ねることできるという強みもあります。

――有機ELなどの光環境が睡眠に及ぼす影響がそれほどに大きいということですね。

木村 その通りです。近年は外出制限をきっかけにテレワークやビデオ会議などオンラインでの作業が増え、パソコンやスマートフォンの液晶画面のバックライトに使用されるLEDからのブルーライトに曝露される時間が増加していることから、それによる睡眠への悪影響も懸念されています。その点、有機E Lはブルーライトが少ないことが分かっています。睡眠の質が昼間の活動量や質に関係していることも既往研究で報告されていますが、多くの一般生活者が睡眠に関する深い知識を有しているとは言えません。単に睡眠リテラシーの啓蒙にとどまらず、生活者一人ひとりにカスタマイズした睡眠プログラムを開発し提供することが必要だと思います。

――そうした研究活動にウェルネストホームのような住宅会社が参加する意味とは?

木村 言うまでもなく、我々は睡眠をとらなくては生存できません。しかし人間は同時に社会活動もする必要がある。社会人であれば働かなくてはなりませんし、学生であれば勉強しなくてはならない。そうなると仕事や勉強の能率が問題になります。この能率に睡眠の質が影響することは皆さんも経験的にご存じだと思います。多くの方は家の中の寝室で睡眠をとられるわけですから、良質な睡眠が得られるための理想的な寝室の設計は住宅会社にとって重要なことなのです。したがってウェルネストホームのような未来の子どもたちのための優れた家づくりを目指すという崇高な理念を掲げている会社こそ、このような睡眠研究の組織に参画し、積極的に社会を牽引していく責務があると思います。

――たしかに、寝室など、睡眠をとる場所をつくる住宅会社の役割はかなり大きいと言えそうですね。

木村 寝室における睡眠の質に影響を及ぼす環境因子は多く考えられます。実は寝室の研究は大手ハウスメーカーで1980年代に始まったのですが、なかなかうまく進みませんでした。その大きな理由が寝ている間の人の状態が分からないということでした。簡単に言うと昨夜よく眠れたのか眠れなかったのかが、起床時の感想などで主観的には分かっても、生理的にどうだったかは、まったく分からなかった。
ところが2000年代に入り就寝中の心拍や呼吸などの生理応答を簡便に測定できる機器が作れるのでないかと考え、私が当時ベンチャー企業と共にこの機器の開発をスタートさせました。それで出来上がった機器(マット型生体センサー)は実はすでに介護施設などで使われているのですが、一般の住宅に実装するまでには至ってなく、このコンソーシアムを中心にさらに研究開発を行い、社会実装を進めていこうと考えています。

こうした研究が、いずれは睡眠時無呼吸症候群の対策や在宅介護・見守り、さらには遠隔医療にも応用できると考えています。

――「ぐっすりコンソ」には、9つのワーキンググループがあるそうですね。

木村 繰り返しになりますが、よい睡眠を得るためには寝室空間の多くの環境因子を整える必要があります。例えば照明、温湿度、⾳、ゆらぎ等がどのように影響を及ぼすのか研究する必要があるとお伝えしましたが、それについては私が担当する「住まいと睡眠」のワーキンググループが担い、そのほかに「寝具と睡眠」「香りと睡眠」「光と睡眠」「食と睡眠」「衣類と睡眠」「入浴と睡眠」「モビリティと睡眠」「運動と睡眠」という、合わせて9つのワーキンググループを設け、その分野を専門とする研究者が担当し、それぞれに企業が参加し勉強会や課題の共有・検討を行っています。

――たしかに、食事との関係、寝具との関係、運動との関係などどのような影響があるのか、日常生活ともつながっているので大変気になります。

木村 例えば寝具も、畳がいいのか、ベッドがいいのか。畳がよいとしたら井草の香りも影響しているのかなど、そうなると寝具だけの議論では済まず香りワーキンググループと連携する必要があるのでは、というように研究テーマは次々に上がってくるのです。そのためワーキンググループ同士がさらに集まってアイデアや意見を出し合う、ジョイントワーキンググループというのもスタートさせています。

――ウェルネストホームは高気密・高断熱で暖かく遮音性も高い静かな住宅としてこれまで全国で1000棟以上建築されてきました。さらによい眠りをもたらす家というお墨付きができれば、建設を希望する方はさらに増えそうですね。

木村 今後、ウェルネストホームのモデルルームで実際に宿泊していただき、さまざまなセンサーで寝室の環境を調べ、前述の生体センサーを用いて睡眠の質を測定しながら、検証を行っていく予定です。しっかりとしたエビデンスを構築して、本当によく眠れる家とはどんな家なのかを、研究を積み重ねて明らかにし、今後の家づくりに活かしていく計画です。

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