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ドイツ フライブルクの旅② エネルギーを自給自足 市役所と団地のハイクオリティな設備とは

ドイツ フライブルクの旅② エネルギーを自給自足 市役所と団地のハイクオリティな設備とは

世界でも有数の環境先進国である、ドイツ。
ウェルネストホームでは、創業者の早田をはじめとするメンバーで定期的にドイツ視察を実施しています。
ドイツで学んだ建築の技法やまちづくりに対する考え方、日本とのギャップなど、複数回にわたってご紹介していきます。

第2弾となる今回は、フライブルク市役所と、郊外にある団地・ヴァインガルテンをご紹介します。

前回の「歴史的建造物から学ぶまちづくりのヒント」もぜひご覧ください。

ソーラーパネルに覆われたフライブルク市役所

まず訪れたのは、ドイツのフライブルク市役所。思わず目を引かれる外観です。
フライブルク市役所では、エネルギーを自給自足するために建物を取り囲むように、隙間なくソーラーパネルが設置されています。

「こんなに大きな市役所なら、中にはたくさんの職員の方が働いているんだろうなあ」と思いますよね? ところがそうではないんです。

というのも、市役所の中では8畳程度のスペースに配置されている職員は、1人か2人なのだそう。かなりゆったりとした空間で働けるんですね!
建築以外の部分でも、ドイツと日本の違いを感じます。

周辺の広大な土地には、同様の形状の庁舎があと2棟つくられる予定です。
今回は、新しく完成した総合庁舎周辺を視察していきましょう。

プラスエネルギーを実現できる理由

フライブルク市役所の外には、複数の吸気口が設置されています。
写真の両側に見える筒状のものが吸気口です。

この吸気口は、外から吸気した空気を、地中のパイプを経由し室内に取り入れる、「ヒート・クールチューブ」を採用した換気システムのもの。年間を通して温度が安定している地下を通ることで外気温が調整され、温度調整に必要なエネルギーを軽減できるのです。

できるだけ熱交換した空気を取り入れる、ということがドイツでは一般的です。

ソーラーパネルやヒート・クールチューブ設備のおかげで、フライブルク市役所ではエネルギー収支をゼロ以下にする「ゼロエネルギー」を達成。

それだけではありません!エネルギー収支はゼロどころかプラスになっているんです。この市役所で生んだエネルギーの一部は、周辺地域でも活用されています。

フライブルク市役所は断熱性能が低い?

実はフライブルク市役所は、断熱性能はそれほど高くありません。
写真を見ても分かる通り、かなりの部分がガラス張りになっているためです。

建物の中で熱の出入りが一番多いのが窓。
ガラスの断熱性を示すUg値は、断熱性の高いものでも0.6W/m2K程度の数値で、壁の断熱性能よりは低くなってしまいます。

しかし、パソコンなどの電子機器が多く置かれており、それらが熱を発することや、稼働しているのが日中のみという状況を考えると、寒さを感じることはほとんどなく、特段問題はないようです。

ちなみに、日本の建物の壁のU値(熱貫流率)は、およそ0.3~0.4 W/m2Kで、ドイツやウェルネストホームの壁のU値は、0.1W/m2Kとなっています。

熱貫流率「U値」とは、温度差1℃・面積1m2の時に、何ワット(W)の熱を伝えるかを表し、数値が小さければ小さいほど、移動する熱量が少ないので断熱性能が高いことを示します。

ウェルネストホームに大きな影響を与えるヴァインガルテン

続いて、フライブルク市郊外にあるヴァインガルテンと呼ばれる団地にやって来ました。もともとワイン畑だったヴァインガルテン。1960年頃につくられた住宅がいくつも立ち並んでいます。ヴァインガルテンの建築から得た学びは、ウェルネストホームの技術にも大きく活かされています。

ヴァインガルテンが美しい理由

改修が完了した棟
改修が完了した棟

ヴァインガルテンの住宅を見ていると、まるで新築のような美しい外観をしていて、とても古い団地とは思えません。
その理由は、持続可能な住宅にするための改修が現在も進行しているから。

改修が完了した16階建ての棟には、風呂やキッチン、暖房のエネルギーを屋上に送り、熱交換してまた各部屋に配り直すハイクオリティな設備が搭載されました。

そのクオリティは、ドイツパッシブハウス研究所が規定する性能認定基準を満たす省エネルギー住宅と同級。ほとんどゼロエネルギーでの運用が実現しているんです。

バルコニーの大幅改修で断熱性を高める

8階建の棟では、ちょうど改修工事が行われていました。もともとあったバルコニーを撤去しています。
バルコニーの薄い床部分を作り直して、壁面まで断熱改修をした上で、改めてバルコニーを外付けするのだそうです。
壁は20cmのロックウールを入れ、窓も入れ替えるのだとか!

改修後の物件は少し家賃が割増になるものの、光熱費が格段に下がります。わずかな値上がりでほぼ新築並みの物件に住めるようになるなんて、うらやましいですね。

良い家に長く暮らすことで、入居者の心も豊かに

改修を進めている棟の中には、入居者が住んでいる状態で改修している物件もあります。その場合、大規模な改修はできないものの、窓や換気システムの交換で、エネルギー使用量の4〜5割を削減することができています。

良い家に暮らしていれば、心に余裕が生まれ、周辺環境にも気を配るようになります。きれいなところに住めば、きれいに暮らすようになります。ヴァインガルテンの中央にある広場は緑豊かで美しく、物件の外観にふさわしい空間となっています。

まとめ

いかがでしたか?
今回は、フライブルク市役所と、郊外にある団地「ヴァインガルテン」をご紹介しました。

今回の記事の内容はこちらの動画からもご覧いただけます。

次回、ウェルネストホーム一行はドイツの森へ。環境先進国であるドイツの森林業に触れながら、これからの時代に必要な環境・住まいへの考え方をご紹介していきます。ぜひ、ご覧ください。

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