ヒートショックが起きるのは家の性能のせい!?ヒートショックと“家”の関係を早田宏徳が解説します!

ヒートショックが起きるのは家の性能のせい!?
ヒートショックと“家”の関係を早田宏徳が解説します!

ヒートショックを防ぐには!?

「ヒートショック」という言葉を耳にすることがあるかと思います。しかし、その原因やメカニズムをしっかり理解されている方は多くないのではないでしょうか。そこで今回は、株式会社WELLNEST HOMEの代表取締役創業者である早田宏徳が、ヒートショックと“家”の関係について改めて解説します。

ヒートショックの問題について

東京都健康長寿医療センター研究所の研究によると、2011年の1年間で約17,000人が、いわゆる「ヒートショック」に関連して急死したと推計されています。これは同年の交通事故死者数が4,691人※1であるのに対して、実に3倍以上。

実はヒートショックは家の性能と深く関わっており、家づくりを考える際にはこの問題を十分に知っておくことが大切です。

※1 出所:警察庁交通局「令和5年中の交通死亡事故の発生状況及び道路交通法違反取締り状況等について」

ヒートショックのメカニズムとは

ヒートショックの問題については、近畿大学の岩前先生や慶応大学の伊香賀先生らが中心となって深く研究・発表されています。私は2008年頃よりこれらの先生方と講演やセミナーでご一緒することがあり、たくさんのことを教えてもらいました。最近ではいろいろな住宅メーカーもヒートショックについて発信していますね。

ヒートショックについては、まずそのメカニズムを理解しなくてはなりません。「暖かいところから寒いところに行くとヒートショックが起こりやすい」といった点については、多くの方がすでにわかっていることと思います。問題は、家の中の温度差にあります。

一般的な日本の住宅において、リビングが20℃以上あって廊下が15~16℃、洗面・お風呂・トイレが10℃しかないといった環境は「普通」ではないでしょうか。

しかし実際にヒートショックが起きているのは、こうした「普通」の環境です。

10℃になる場所が脱衣所だとします。脱衣所では裸になるので、人体にとっては余計に温度差が激しくなるわけですよね。つまり、「そのときに何が起こるか」がすごく重要なのです。

入浴中の溺死はヒートショックが原因!?

よく、「ヒートショックではそんなに人は死んでいない」と言われる方がいるのですが、これは大きな誤解なんですね。「暖かい部屋から寒い脱衣所・浴室に移動し、倒れて亡くなった方」は、確かに1万7,000人もいません。しかし、家庭内溺死者が非常に多いのです。

浴室でなぜヒートショックが起こるかというと、まず暖かいところにいるときの血管・血圧は正常だとします。そこから洗面所に行くと寒いですよね。さらにそこで服を脱ぐから、よけいに寒いと感じます。そのとき鳥肌が立ちますよね。鳥肌が立つというのは、毛穴をキュッキュッキュッと閉じて、これ以上体温が逃げるのを防ぐ人間の自己防衛本能なのです。

一方血管は、血液がそれ以上動かないようにキューッと収縮して細くなります。すると血液を押し出せなくなり、心臓に負荷がかかってしまいます。寒いとブルブル震えるのも、実は筋肉を震わせて体温を上げようとする自己防衛本能なので同じことです。

そうなってから、やっとお風呂に入ります。軽く体を流して、あわてて42~43℃もある熱いお湯に、「はあ~寒っ」などと言いながらザバーンと入るわけです。10℃でガクガク震えているときにお湯に入ったら、43℃。当然、人間の脳がびっくりするんですね。「今、血管閉じてるよ!」と。

そして脳は「このまま毛穴を閉じているとすぐに熱中症になってしまう」と感じ、あわてて一気に広げます。同時に細くした血管もバーンと広げて、「早く血を流せー」という状態になるのです。

血管の状態

すると、これは高齢者になるほど多いのですが、心臓の動きと血管の収縮活動のバランスがとれなくなります。急に送り込みすぎた血液がドーンッと下に落ちて、意識がフラフラッとなるんですね。そして立ちくらみのような状態を招いてバタンと倒れたり、お風呂の中で沈んでしまったり……という話なのです。

つまり本来、人間はそうしたくはないのだけれど、自己防衛本能で血管が収縮し、そして拡張ることがヒートショックの原因になっています。浴室内でのヒートショックは、「転倒死」や「溺死」を引き起こす可能性が大きいのです。

日本に多いヒートショック

WHO(世界保健機関)が出している統計では、「日本の住宅が寒い」ことによる関連死数は10万人くらいるとされています。たとえば低体温症とか、肺炎になりやすいとか、ぜんそくとか。そういったものも家の中が寒いから起きやすい病気だということですね。

寒い家の健康リスク

要は、「家が寒いのがよくない」ということです。

ちなみにヨーロッパの家がどうなっているかというと、寝室は19℃、20℃なんですよ。そのほうが寝やすいからです。リビングは人がいて熱が出るので22℃ぐらい。そしてお風呂やトイレは24~25℃です。

お風呂・トイレが一番暖かくて、リビングがその次ぐらい。寝室は1番涼しいんですね。お布団をちょっと掛ければちょうどいい温度です。寝るときは寒いぐらいのほうが、体温がグーッと落ちてきて深い眠りになるからです。もし寝室が24~25℃だったら、やっぱり暑くて、ちょっと寝苦しくなりますよね。

そこでちゃんと健康のことを考えると、「寝室の温度は低めにして、リビングは真ん中ぐらい、お風呂・トイレ・洗面所は高めに」というのがヨーロッパの家の「普通」なのです。日本でもそういう住宅が普通になれば、ヒートショックが減ると思います。できればエネルギーの負荷を減らしながら建てることができたら、よりいいですね。

なお、令和5年の人口動態調査 によると、家の浴槽内での溺死及び溺水した人は6,332人。同年の交通事故死者数2,678人1の2倍以上となっており、世界的にみても突出して多くの方が亡くなってます。そして、その9割以上が65歳以上でした。

※1 出所:警察庁交通局「令和5年中の交通死亡事故の発生状況及び道路交通法違反取締り状況等について」

なぜ熱中症で亡くなる高齢者が多いのか?

大切なのは、「こういうことがある・起きる」という現実を知ることです。熱中症で倒れる場合も同じですが、たとえば子どもの場合「ガマン」がわからないんですよね。今暑いと感じていても「ガマンしなきゃ」と頑張って、バタンと倒れてしまう。これはかわいそうですよね。

そもそも、そういうところに子どもを置いてはいけない。1番わかりやすいのが、車の中に小さい子どもを置きっぱなしにして亡くなるなどの事故です。これは、子どもは逃げられないから起こるわけですよね。

でも、高齢者は自分の意志で窓を開けられるし、エアコンもつけられます。ではなぜ、家の中で熱中症にかかり亡くなってしまう高齢者が多いのでしょうか。

年齢を重ねると、そうした感覚神経が減少し、外部からの温度変化を感じ取る能力が衰え、暑さや寒さを感じにくくなります。

知らず知らずのうちに、「暑い」「寒い」の感覚が弱まっているんですね。だから、残念ながら熱中症やヒートショックで亡くなるのは、高齢者が多いのです。

でも、もしその家の性能がよければ、高齢者が普通に生活していても暑くなりすぎないし寒くなりすぎないですよね。それなら、温度を感じる能力が衰えても長生きできるわけです。それだけ家の性能が非常に重要だということです。

子どものときから良い環境を

従来の日本の家は、脱衣所がすごく寒い。でもおじいちゃんおばあちゃんの家に行くと、もっと寒い。そんな状況が、ある種当たり前だと思われている方も多いのではないでしょうか。最近ようやく、これを「ちょっとおかしいんじゃないか」と気づき始めてきたというところかもしれませんね。

しかし一度でも暖かい家で暮らしてみると、きっと寒い家に違和感を覚えるでしょう。もし子どものときに性能のよい家で暮らしていたなら、大人になってからもそういう家にしか住みたくないと思うのが当然です。

ですから、子どものときからそういう環境を与えていくということを社会がしないとダメですよね。そうしないと、いつまでたっても日本人は脳梗塞や心筋梗塞、熱中症で亡くなるのが当たり前になってしまいますから。

これは先進国では考えられないことなんですよ。WHOの「住まいと健康に関するガイドライン」においても、健康を守るための冬の室温として18℃が推奨されています。

日本においても今後、先進国に倣った家づくりを検討しヒートショックをなくしていくことがとても重要なのはいうまでもありません。ぜひ皆さんには、正しい知識を持ってよい家を建てていただきたいですね。

まとめ

ここまで、ヒートショックのメカニズムや、家の性能との関係についてご紹介してきました。「ヒートショックがなぜ起こるのか」「どうしたらなくしていけるのか」など、ご理解いただけたでしょうか?

ウェルネストホームでは環境先進国では当たり前となっている高性能な家づくりに取り組んでおり、ヒートショックが起きない環境をご提供することが可能です。私たちと一緒に「日本の当たり前」を見直し、大切なご家族を守る住まいについて考えてみませんか?

早田宏徳によるヒートショックと家の性能の関係についての解説は、こちらの動画でご覧いただけます。また、過去の記事「ヒートショックとはなにか? 交通事故の2倍の命を奪う冬の凶器の原因と対策」でも、ヒートショックについて詳しく解説しています。ぜひご覧ください。

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