ヒートショックの原因と対策は?
寒い家で自宅が凶器!?シックハウスより怖い健康被害

住宅の健康被害として有名なのは、
建築素材や家具などに使用される科学物質を原因とするシックハウスです。

ですが、シックハウス以上に大切かつ深刻にもかかわらず、
ほとんどの方が危険性を把握していない健康被害があります。

それは、家の中の温度差による健康被害。
いわゆる「ヒートショック」と呼ばれるものです。

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冬の風呂場に要注意!急死の危険「ヒートショック」

日本の全死亡者の3割は脳卒中や心疾患等の血管系の病気で亡くなっているというデータがありますが、その要因の1つが「ヒートショック」だと言われています。
ヒートショックとは、家の中の急激な温度差がもたらす身体への悪影響のこと。
冬になると入浴中の溺死やトイレで突然死といった高齢者の死亡事故に関する注意喚起が盛んになりますが、これらもヒートショックの一例です。
下のグラフを見ても分かるように、高齢者の浴槽での溺死が世界で最も多いのが日本です。諸外国と比較すると溺死者の割合は数十倍に及びます。

シックハウスよりも圧倒的に恐ろしく、危険なのが、「ヒートショック」による健康被害なのではないでしょうか。

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ヒートショックが起きるメカニズム

ヒートショックは何故起きるのでしょうか?
高齢者に多い入浴中の事故を例にとって考えてみたいと思います。

入浴中の溺死は、毎日浴槽につかる習慣を持つ日本独特の深刻な健康被害です。
私たちは冬になると、少しでも暖まるために風呂の湯温を40℃以上と高めに設定する傾向があります。お風呂に入る前に寒い廊下を通り、冷えた脱衣所で服を脱いでいる間に鳥肌が立ち、血管を絞めるため血圧が上昇します。

その後熱いお風呂につかると、一気に体中の毛細血管が開きます。このとき本来ならば心臓が鼓動を速めて血圧が下がりすぎないように調整します。

しかし、循環器系が弱っている高齢者はうまく出力を調節できず、血圧が下がりすぎて脳に十分な血液を送ることが出来なくなることがあります。(お風呂に使った瞬間にフワッとする感覚がありませんか?あれは実は失神の初期症状なのです)そして、そのまま気を失って浴槽で溺死してしまうのです。

このような溺死者が毎年4千人以上いることが総務省の統計で報告されています。ヒートショックは他人事ではありません。住宅を建てる時にしっかりと対策をとる必要があるのです。



出典:厚生労働省 人口動態調査

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ヒートショックの原因は寒い家?

住宅とヒートショックは密接な関係にあります。それは、寒い家がもたらす「冷え」が、私たちの身体に様々な悪影響を及ぼすからです。

「冷えは万病のもと」という言葉をご存知の方も多いのではないでしょうか。古くからの言い伝えや迷信とも思われがちですが、実はこの言葉には医学的な根拠があります。

私たちの身体は寒さを感じると生理現象として鳥肌を立てます。鳥肌とは、体の深部の体幹温度維持のために皮膚表面の毛細血管が収縮した状態のこと。鳥肌が立つと血圧が高まり、脳梗塞や心筋梗塞などに代表される循環器系のトラブルの危険性が高まることが確認されています。

また、寒い家では皮膚や肺の温度が低下するため、皮膚や呼吸器系の免疫力が低下し、皮膚アレルギーや気管支喘息などの呼吸器系疾患を引き起こす一因となることも分かってきました。これらの健康被害も浴室での急死と同じくヒートショックとの一部であり、過度な低室温や室間温度差が主要因と考えられています。

更に、室間の温度差10℃以上だと1日の歩数が2千歩も減少するという研究データもあり、寒さは家屋内の移動距離を縮め、運動不足の要因ともなるのです。

まさに「冷え」を生み出す寒い家は万病のもとであり、ヒートショックの引き金となっているのです。

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温度の低い家が規制されるイギリス

出典:ageuk.UK Winter Health Campaign

「冷え」に警鐘を鳴らしているのは日本だけではありません。

イギリスの国家統計局によると、冬の寒さに起因する死者数が2014年に44,000人と過去最高レベルに達しています。その実に82.5%は75歳以上の高齢者であり、被害者の多くは貧困から十分に暖房費を捻出できないために、過度に寒い家で過ごしている状態でした。この事実が問題視され、行政支援の必要性が見直されています。

約160年前に、ナイチンゲールがこう話しています。「最も重要なことは体を冷やすことなく空気をきれいにすること」「建築に携わる人たちは非常に賢い人たちばかりだけれども、目先の商売のことしか考えていないので残念です。家の性能・設計が身体に及ぼす影響の大きさがわかり、例えば保険料が異なるようになれば、彼らも真剣に家づくりに取り組むのでしょうけれど。そうなるのはいつかしら・・・」

現在のイギリスでは、温度が低い家は健康に問題があるということで規制されています。そして性能の悪い家に住んでいる人は、それだけで保険料が高くつくのです。

保険の世界に「ハインリッヒの法則」という考え方があるのをご存知でしょうか。1人の事故者がいたときには、「小さな事故を起こしている人」が、29人。そして、「事故こそ起こしていないけれど、事故を起こしそうになった人」が、300人いるという法則です。

「その裏にあるいろいろな可能性を考えよ」というのがハインリッヒの法則です。この法則に基づくと寒さで亡くなっている人はお風呂だけでも年間4000人。そして亡くなってはいないけど、脳梗塞などで半身不随などになった方は数万人以上いる。お風呂でヒヤッとする思いをした人が100万人以上いるのではないかと推察できます。

要介護者を抱える家族の負担はいかばかりでしょう。社会的負担という観点からも影響は決して小さくはありません。なによりご本人の人生において不幸ではないでしょうか。

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ヒートショックを予防する2つの性能「断熱」と「気密」


▲連続した温度差が、様々な健康被害を生む要因となる。(出典:ageuk.UK Winter Health Campaign

様々な健康被害を引き起こすヒートショックですが、原因はどれも寒い家がもたらす「家の中の温度差」です。

家の中の温度差が激しい家とは、「断熱性能」と「気密性能」が悪い家のことです。そうした住宅は家全体を温めるために非常に大きなエネルギーを消費するので、住人は節約のためにリビングやよくいる部屋だけを温め、使われない部屋や廊下、浴室などは非常に寒い状態で放置されます。こうして家の中で過度な温度差が生じ、ヒートショックの起きる危険な環境が出来上がってしまうのです。

こうした危険を回避するために住宅を選ぶうえでチェックしておきたいのが「断熱性能」と「気密性能」の2つです。

ウェルネストホームでは、Q値(熱損失係数:断熱性能を表す値)=1以下の高い断熱性と、C値(延床面積あたりの隙間量:気密性能を表す値)=0.3以下と隙間のない高い施工精度を担保することで、家中のどの部屋でも20度を下回らないように設計しています。

家族全員がヒートショックを心配することなく、健康で快適に過ごせる、「本物の健康住宅」を建てています。
日本でも、ようやく最近になってヒートショックの問題性が考えられ始めましたが、まだまだ氷山の一角にすぎません。高齢者だけではなく、要介護者を抱える家族への社会的負担など全体の問題として捉える必要があります。
家の性能が十分でないために、安住の地であるはずの自宅が凶器になる可能性があります。あなたのご自宅やご実家はヒートショックという凶器になっていないか今一度見直す必要がありそうです。

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この記事を書いた人

今泉太爾
一般社団法人 日本エネルギーパス協会 代表理事 / 住宅の省エネ・快適性などに関する専門家。その他住宅に関する幅広い知見を持つ。国土交通省や長野県など、中央官庁や地方自治体の環境・住宅政策の専門委員を歴任。

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