【地震に強い地盤】を調べる新しい地盤調査の方法「微動探査」をご紹介

【地震に強い地盤】を調べる新しい地盤調査の方法「微動探査」をご紹介

微動探査1
  • 2011年3月の東日本大震災
  • 2017年4月の熊本地震
  • 2018年9月の北海道胆振東部地震

たび重なる地震の被害を受けて、家の耐震性に対する関心が高まっています。その中でも、建物そのものの耐震性能だけでなく、地盤についても注目されています。

しかし、「地震への備えとして地盤調査をやっておけば安心だ」と、地盤に対して多くの方が誤解されているのではないかと懸念しています。残念ながら、従来の地盤調査の手法では、地震の揺れやすさまで調べることができません

そこで私たちが提案するのが、微動探査という新しい地盤調査の方法です。

微動探査とはなにか?
従来の地盤調査の方法と何が違うのか?

※WELLNESTHOME創業者の早田がyoutubeチャンネルで地盤調査について解説している動画はこちら

WELLHEST HOME創業者である早田宏徳が解説いたします。

【はじめに】地域微動探査協会の理事就任のご挨拶

WELLNEST HOME創業者の早田宏徳と申します。よろしくお願いいたします。

私どもは今、北は函館から南は九州博多まで、全国で日本トップクラスの性能の住宅をつくるメーカーです。わたくし早田は、そういった理念を掲げ、全国にWELLNEST HOMEの創業者で代表取締役として活動しています。

もう一つは、一般社団法人クラブヴォーバンと申しまして、ドイツ・フライブルク市の「ヴォーバン住宅地」をモデルに全国の自治体さんと、持続可能な街づくりを研究している団体の代表もやらせていただいております。

そんな私は、今回、一般社団法人地域微動探査協会の理事に就任してほしいということで要請を承りまして、要請にお応えして理事に就任させていただきました。正直この微動探査という話を伺ったときに、「ああ!やっと出会えた」みたいな、そういった閃きが瞬間に出ました。1秒で「ぜひ、やらせてください」ということで加盟しました。

私が理事就任を承諾した経緯を簡単にお話しさせてください。私は1995年ぐらいから、もともと左官屋の出身でした。壁を塗るのがおじいちゃん、うちの父の代からずっとやっていたのですけども、バブルがはじけてしまい、途中で住宅屋さんに私だけ転身しました。もともとが左官屋さんだったこともあり、壁が割れるとか、そういうのが嫌で、実は耐久性の高い住宅、地震に倒れない住宅というのを、ずっと最初から根本理念にありました。

壁がなぜ割れる理由というのは、一つは柱が結露したり乾燥したり収縮したりする関係です。柱が動くので当然壁が割れるという問題があったので、気密、断熱を今から23年前からずっとやってました。柱が腐らない、壁が動かない、いわゆる壁が割れないという住宅を造ってきていました。

もちろん、それはそれで大事なことなんですけど、もう一つは地震なんですよね。ですので、地震対策で非常に頑強な箱にするような住宅をつくってきたんですね。いろいろな関係者の方がお話しされていると思うんですけども、一般的なスウェーデン式サウンディングの地盤調査だけでは、ちょっと違うなというのを感じてました。

まさか地盤の揺れやすさが簡易的に測定できる方法が、われわれのような住宅業界でもできるということを聞いたときに、「やるべきだ!」ということで、1秒でこの事業を一緒にやっていこうということを決断したという経緯です。

一般社団法人地域微動探査協会の公式サイトはこちらから

地震で揺れにくい地盤かどうかは地盤調査で分からない

私がなぜ微動探査に取り組もうと思ったかということなんですけども、スウェーデン式サウンディングという、俗に言う少し重しをつけた重いものに、鉄の杭をぐるぐる回しながら沈めていくんですけども、これは地盤の固さを調査する方法なんですよね。建物の周辺四隅に真ん中の5点ぐらい調査して、一般的に「大体ここは固いね、柔らかいね」ということをやるんですけど、簡単に言うと、建物の片側が固くて、もう片側の建物の端の方で柔らかい地盤があったりすると、地震が何も起きない状態でぐーっと傾くことがあるんです

これを不同沈下と言うんですけども、一般的なスウェーデン式サウンディングというのは、この不同沈下が起きた場合の保険に入ってるだけなんですよね。

ですから、従来行なっているスウェーデン式サウンディングでは、地震が来たときに建物が傾くかどうかはわかりません。それは地震保険で対応しなきゃいけないものなんですね。これはたまたまなんですけど、私が2007年からドイツに渡り、これから日本でドイツで学んだことを日本の気候に合った、四季に合った構造の住宅を創ろうと思って研究をしていて、それに賛同してくれたのが、偶然にも浦安で不動産会社を営んでいる今泉という人間でした。彼と一緒に実は2009~2010年で私たち6棟のWELLNEST HOMEの前身になる建物を造りました。

もちろんご存知のとおり東日本大震災がそのとき来まして、周辺にあった住宅がどんどん傾くわけですよね。われわれのところは幸いにして、偶然にも地盤が固い場所でしたので、浦安と言いましても端の方で埋め立て地ではなかったので、今回地震が起きても大丈夫だったんですけど、あのときの建物の傾きを見たときに、液状化とか地震の影響はすごいなというのを感じたんです。ただし、私どもの建物は無傷でしたし壁にクラック一本入っていませんでした。

もう一つ、たまたま2010年11月から着工させてもらったお客さまが、3.11のときに福島県いわき市でやはり地震を受けたのです。この住宅におきましても、幸いなことに壁にクラック一本すら入っていませんでした。当然ご存知のとおりで地震による影響はかなり大きかったと思うんです。津波の被害を見たときに、これは人間の力では逆らえない、対策のしようがないと思いました。

しかし、地盤と地震と建物の揺れというものに関しては、相当、耐久性という面でも耐震性という面でも重要だなというふうに思ったんですね。

それがやっぱり私の、震災の想いでWELLNEST HOME(旧低燃費住宅)を創業したきっかけになるんです。ですから96年ぐらいから住宅屋始めてるんですけど、この地震とか建物の揺れとか壁が割れないようにということにずっと焦点を置いて、クローズアップしてやってきたという経緯があります。

やっぱりスウェーデン式サウンディングでは意味がないなと正直思ってました。不同沈下という面では意味があるんですけど、地震には正直関係ないなというふうに思ったんですね。そのときにまさか私たちの住宅、一棟一棟建ってる住宅で微動探査というものができるということを、正直知識もありませんでした。微動探査という方法があると聞いたときに、これだと思って今始めさせていただいているという状況です。

微動探査の測り方

微動探査2
微動探査のやり方について簡単に説明しますね。

上の写真のように、小さな箱を4つTの字に置いて、約15~20分弱で地盤の揺れを測定します。それで出てきたシートを、まだ若干変わるかもしれないですけど、このようなレポートが出てきます。

このときに一番驚くのが、地盤の特性がわずか30~50メートル離れるだけで、揺れやすさ全くが変わるということです。

その中で、増幅特性というのがA~Eまでランクづけされています。

微動探査-調査レポート

要は、その地盤がこのA、固い地盤と比較して、このEまで行くとどのぐらい揺れが増幅するのかという、ほんとに上の方には地盤の揺れやすさというのがわかります。

その下にこの振幅特性という項目があります。

木造住宅の場合、地盤の揺れと建物の揺れが、共振したときに倒壊する危険が高くなります。その辺がさらに一般的な木造住宅であれば、A・B・Cのどれかに調査で該当しまして、建物が倒壊するかもしれないというリスクが出てきます。

耐震等級3の建物でも地震で倒壊するリスクはある

  • 地盤の硬さ
  • 地盤の揺れやすさ

この2つはまったく別物です。いくら不同沈下に耐えられる固い地盤であっても、この増幅特性建物の共振というのが重なると、地震によって家が倒壊するリスクが高まります。

工学博士の横山さんの話によると、熊本県益城町あたりですと、特にこのC程度と言われている地盤で、結構揺れにくいよと言われている建物の中でも建物が倒れた経緯があると、私も話しを伺ったんですね。

建物が耐震等級3だから絶対安心というわけはありません。耐震等級3であってもEと言われる非常に揺れやすい特性の建物だと、倒壊する可能性があるということを知ったんです。

そのようなこともあり、基本的には、これはもう建物の性能だけ追い求めていっても、やはり地震には逆らえないというか、倒れてしまう可能性があるということを知ったので、これは私どもWELLNEST HOME、全国でも120~150棟しか建てさせてもらってない会社ですけども、私たちだけが耐震性の高い住宅を立てるだけではあまり意味のないものだなということを直感的に感じました。

微動探査を行うメリットは何か

微動探査は、日本中の工務店さん、お施主様が絶対やるべきことであると確信しています。調査をたくさんすればするほど、その揺れやすさ増幅とか振幅のデータが溜まっていきます。国立防災科学研究所に溜まっていきます。そうするとこのエリアは危険なので、相当カチカチに家を建てないと危ないなとか、耐震診断せずともデータがわかってくると、これから家を建てる方、もしくはリフォームする方が、安心してリフォームができる時代が来るんですよね。

もちろん家をこれから建てるエンドユーザーさんにとっても、このデータがたくさん集まれば集まるほど安心できますし、ちょっと地盤が揺れやすいとこだったら、心配ですので固く家をつくってもらう、地震に倒れにくい家をつくってもらうということをオーダーができるようになりますし安心だと思いますね。

【工務店さんにとってのメリット】お施主様との信頼関係の構築につながる

確かに地震はめったに起きないので、(大変恐縮ですけど)耐震等級1で家を建てている安いローコストメーカーさん、建売メーカーさんはただ家をつくって「新しい家でしょう」と販売されてる方も多いんですけど、ぜひこれはすべての工務店さん、住宅メーカーさんにお話ししたいんですけど、万が一家が倒れてしまったら、そのエリアで恐らくもう評判が悪くなると思うんですよね。

「あの地震で倒れたよ、◯◯工務店さんは、◯◯ホームさんは、◯◯不動産さんの家、倒れたよ」。そうなると、まったくもってもう信頼が地元からなくなると思いますので、工務店さん、不動産屋さん、建売業者さんにおかれましても、ぜひこの微動探査を一緒に進めていって、全国で、万が一来たときにも自分たちが作った家の家族は命が守られると、財産が守られると、自信をもって提供していただきたいのです。

そういったふうにしておかないと、将来的にはかなり経営のリスクは高まると思うんですよね。ですのでこの微動探査を、私どもWELLNEST HOMEは自分たちだけがこれを使って、他の会社と差別化して優位に立とうなんて小さい心で接しているわけじゃなく、日本中の工務店さん、日本中の不動産屋さんがどのような建物建てるときでも微動探査をしっかりやって、日本中でこれ以上地震のときに倒壊して、倒れて人命が失われるなんてことはない社会にしたいと思いましたので、私どもは皆さんに奨めていきたいということで、この役割をお受けしてるということでございます。

工務店さんは、当然ご自分のつくった家の、将来20~30年の間に地震が起きて、万が一倒壊したら非常に信頼を失うということで、リスク回避というか、そういった意味でも「微動探査してください」というのは工務店さんに対するお願いなんです。

【お施主様にとってのメリット】地震が来ても安心な土地探しができる

一般のエンドユーザーさんも「ぜひ微動探査をやってください」というオーダーを工務店さん、ハウスメーカーさんにしてほしいんですね。やって地盤が揺れやすいということがわかった上で、図面をプランニングし始めてほしいんです。そうするとこの建物は揺れやすいので絶対、耐震等級3にし、かつここに制振部材とか免振装置を入れようということが、実は図面を描く前から私たち想定できるんですね。

土地を買った、もしくはお持ちになっている土地を先に微動探査をすると、プランニングを依頼するときに事前にオーダーができますので、より安心できると思うんですよ。残念ですけど図面を描いてしまった後に、この微動探査をしても、正直あまり意味がないもので、できましたら土地を購入した場合、もしくはこれから建て替えをする場所があるときは、先に微動探査をやっていただき、そのデータを基にプランニングしていただくのが一番安全ですし正しい方法だと思います。

いま住んでいる土地で微動探査をすることにもメリットはある

もしこれから新築する場合は、その土地に先に微動探査したほうがいいですよとお話をしたんですけど、この微動探査のもう一つの特性が、実は今住んでるお家でも、庭先とか駐車場の位置で微動探査ができます

微動探査を行うことで、その土地の揺れ幅や増幅特性がわかるのです。そうすると、今すぐはないにしろ、将来リフォームしようかなというときに、お化粧直しというか、色を塗り変えたり、キッチン・お風呂を変えるときのリフォームは皆さん日本中やられてるんですけど、そのときにちょっと壁を壊して耐震補強工事をすると、それだけでもそれから先10年、20年の先に地震が来るかもしれないというリスクの回避にもなります

今すでにお住まいの方も、ぜひ私たちの協会のこと知っていただいて、微動探査をやってみたいなと思ったらぜひお問い合わせください。

微動探査は何のために存在するか?

微動探査をやる本来の目的、本来の理由は何だと思いますか?

ずばりなんですけど、マグニチュード5以上の地震の世界の25パーセントが日本列島だけで起きているという事実を知っていただきたいということです。直近でも東日本大震災で2万人の方が被害に遭いました。熊本でも地震が起きましたし、上越で起きたり、長野でも起きてますし、福岡でも起きてます。北海道もつい昨年、大きな地震がありました。ということで、日本中どこで地震が起こるかわからないんですよね。

微動探査をやる意味というのは、そもそも地震が来たときにご自分のご自宅だけでも倒壊しないで、もちろん命・財産を守るという本来の目的もあるんですけど、その後の復旧作業ですよね。

今回仮設住宅に生活を余儀なくされた方、特に東日本大震災、多かったと思うんですけど、暑い、寒いでお悩みになったり、仮設住宅が結露してぜんそくになったり肺炎になったり、とにかくストレスすごいですよね。そんな中でただでさえ震災後の復興で大変なのに、生活にストレスを感じながら復興していくのと、(そうはいっても数日間は電気が止まったりインフラが大変になると思うんですけど、)ご自分のご自宅で安心して復興していくのでは、やはり全然意味が違うと思うんです。

もちろん大前提、地震が来たとき倒壊してなくならないという最低限の条件は満たしていなければなりません。さらに重要なのは、その後の震災復興ですね。会社に行くにしても、学校に行くにしても安心して行けるのと全然違うと思うんですね。

微動探査というのはあくまで調査で、その手段に過ぎません。われわれ住宅メーカーがやらなければいけない本来の使命は、人の生命と財産を守ること、震災のときの復興のときも安心して暮らしが営めるということです。エンドユーザーさんもそういった建物を望んでいただきたいというふうに思います。

微動探査はこれからどのように発展していくか?

地盤の揺れやすさを測定して増幅率や振幅特性を測定して、家が倒れにくいようにつくりましょうという話をこれまでしてきました。

ただし、これにつきましてはまだ研究の最中です。先生方の研究も今どんどん進んでますので、近い将来やれるのではないかと話が出てるのが、建物自体の共振、揺れの特性を調べるということです。これにつきましてはすでに実験が始まってます。

実は地盤の揺れと建物の揺れが、共振が一致したときに倒壊するリスクが非常に高いんですね。ですから「もう建ててしまったんだから微動探査なんかしても意味がない」ではなくて、これからは、ご自分の庭先で微動探査を行うことで、地盤の特性を調べ、いまお住まいになってる建物の特性を調べたら、将来的にリスクが高いということを(公共工事ではできるんですけど、)一般住宅でもできるようになるかもしれないというのが、この微動探査の素晴らしいところです。

ですから、近い将来これが一般住宅でもできるようになると思いますので、ぜひそういった方は不安に思ってるのではなくて、ぜひできるようになったら微動探査にチャレンジしていただきたいなというふうに思っております。かつ、ちょっと厳しい話なんですけど、震度6~7の地震を一度受けると、性能の良いときの性能よりも建物の粘りがなくなってくるんです。何度も何度も地震を受けると、どんどん建物の粘りがなくなってくるんですね。ということで、実は地震が終わった後、ほんとにその家に住み続けても安心か安全かという調査もすることができるようになると思います。今研究中ですけどね。

これからは地震が起きた後も、自分たちはこのまま住み続けても良いかなという調査も可能になります。ありとあらゆる側面でこの微動探査というのは、調べるという意味では非常に良いツールです。その辺りも将来的に私も楽しみにしていますし、ご不安に思ってる方も、ぜひオーダーいただければと思います。今研究中ですので、可能になりましたよということになったらお伺いして調査させていただきますので、現段階でも不安な方はぜひお問い合わせいただければというふうに思っております。

また、これまでのお話を、YouTubeにて解説動画としてまとめさせていただきました。今後、微動探査に関する最新情報、取り組み内容も順次アップしていきます。よろしければチャンネル登録もお願いいたします。

地域微動探査協会の公式チャンネルはこちらから

まとめ

地震による地盤の揺れやすさ、建物との共振のしやすさを測れる新しい地盤調査である微動探査についてお話してきましたがいかがでしたでしょうか?

度重なる地震の被害を受けて、地盤の重要性に気づき始めた方も多いかと思います。しかし、従来のスウェーデン式サウンディングでは、この地盤が地震に対して問題ないかどうかまで把握することができませんでした。

多くの工務店さんに微動探査を活用いただくことで、本当の意味で地震に強い家づくりに貢献していただければと考えております。

地震に強い家づくりという意味では、やはり建物そのものの耐震性も無視できません。さらに、仮に耐震等級3の家だったとしても、壁内の内部結露によって柱が腐ってしまったり、シロアリに食われてしまえば、30年後には耐震等級3の家が地震で倒壊する恐れもあるのです。WELLNEST HOMEが運営する家づくりに関するお役立ち情報を発信するメディア「家づくりラボ」では、こうした地震に強い家づくり全般についての情報提供もしています。ぜひ記事を読んで勉強していただければと思います。

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