外からではわからない壁の構造の違い【通気層とサイディングと防水透過シートの不都合な関係】
WELLNEST HOME創業者 早田宏徳が語るシリーズ⑥
壁の中の構造の違いによって、健康で快適かつ100年長持ちする家か、そうでない家か大きく分かれます。一般的な家では、壁の内部に通気層を設けて、透湿防水シートをホチキス(タッカーともいう)とめしているだけです。しかし、このような構造では、通気層を通った湿気やすきま風が、室内に入り込んでしまいます。WELLNEST HOMEでは、そもそも通気層を設けなくても、湿気に強く気密性の高い壁の構造になっています。その要因としては、緑の柱やセルロースファイバー、モイスという湿気に強い材料を何重にも使用していること、外壁には湿気に弱いサイディングではなく五層コートの塗り壁を採用したりしています。15工程にわたる施工を通して、高気密な壁の構造になっております。壁の中の構造の違いによって、家の性能にどのような差が出るのか、動画の中で詳しく解説します。
日本の代表的な壁の構造では隙間風は避けられない
こちら日本で一般的に作られている住宅の基本形です。
どういう基本形かというと、構造材と言われる木造住宅メーカーの材木があります。
ここはグラスウールという日本で代表的な断熱材が入っています。
そしてその外側に雨が直接入らないように、透湿防水シート、湿気は通すけど防水していますというシートが貼ってあります。
内側には防火のための石膏ボードですね。そしてビニールクロス。
これが一般的な日本の住宅の工法だと思います。
ちょっと変形してシートの部分がベニヤ板、2×4とか2×6とか言いますけどベニヤ板を貼っている方が、確かにこのシートよりも気密性が高い住宅が多いです。
もう一つ変形しているのが、この内側の断熱材で最近よくあるのが発泡系のウレタンです。吹き付けると一気に膨らむ発泡スチロールが現場で発砲するようなことを現場発泡と言うんですけれども、こういった現場発泡のウレタンが増えています。
現場発泡とは、専用の液を吹きかけることで反応を起こし一気に膨らむ素材であり、家の形状に合わせて形を変えることができます。
その工法が割合近いかなと。あとは柱が鉄骨になったりです。工法が違ってくるだけの話で、基本的にはこれが主な工法だと思います。
通気層があるのはサイディングのせい
代表的なのはここに通気層があるということなんですね。
なぜここに通気層があるのかというと、一般的に日本で90%くらい使われているサイディングというものなんですが、残念ながら切ってみるとセメント板なんですね。断面見ていただいてもわかる通りセメント板です。
表面に若干塗装しているだけで、見た目は確かにタイル調に見えるんですが、セメント板に塗装しているだけなんですね。
このセメントというのがあまり水に強いものではないので、ここに通気層を設けて結露しないようにしないと早く壊れてしまいますから、サイディングを保護するために通気層があります。
この通気層が気密にすごく影響していまして、実はこれはホッチキス(タッカー)で、パンパンパンと止めているだけなので隙間だらけです。
なので家の中に隙間風が入ってくるのはこれが原因になります。
ということで、厳密にいうと両面のブチルテープでシートとシートをピタッと貼る工法にしていただかないと、私はこの透湿防水シートはよろしくないと思います。
ましてや湿気が入ってきて、100年続く長期優良住宅って言われていますが、首を傾げてしまうという風に私は思っています。
WELLNEST HOMEの家に通気層がいらない理由
ではウェルネストホームの工法はどうなっているかと申しますと、
見ていただいたらわかるようにまず断面形状が違います。
まず上から見ていただいて、こちらが別の動画でお話ししている緑の柱です。
そして内側にはセルロースファイバーという紙の断熱材を使用しています。こちらの性能は後ほど解説します。
その外にモイスと言われる、最近よくホームセンターとかに売られているお風呂から上がった時にバスマットの代わりに使うすぐ水を吸ってすぐに乾く素材の親分だと思ってください。モイスという非常に有効な外壁を使っています。
その外側に通気層が全くない状態でロックウール。その外に五層コートの塗り壁、という形で我々はやらせていただいています。そしてトップコートで色を塗るという形ですね。
内側は二重の、まず最初はセルロースファイバーが落ちないような不織布、それから気密シート、プラスターボード、紙のクロス、塗り壁。
こういった工程になっています。だいたいこれで15工程です。
それでなぜウェルネストホームの家は、なぜ通気層がなくても大丈夫なのかという話をしたいのですが、まず1番は気密ですね。
板を貼って板と板のジョイントにはしっかりここで両面のブチルテープを貼りますので、まずここで1回目の気密を取ります。
2回目が内側に気密シートを2重に貼ります。ここでも気密をしっかり取っています。
このモイスが吸保湿性能が非常に高いので、万が一ロックウールから仮に水が入ってきたとしても、腐ったりふやけたりすることがないということです。
ではこのモイスなんですけど、もちろん非常に硬いもので、岩みたいな素材ですから非常に地震にも強いですし、これを1枚貼ると柱2本分の強度があると言われている壁の地震に強い耐力面材です。
モイスに水をかけてみます。
瞬間的に水を吸っていくのがわかりますか?
早いですよね。すごい勢いで水を吸っていくんです。
こういった感じで、実はこれ自重とほぼ同じ、自分の体積と同じくらい水を吸うことができますし、水を吸ったものを乾燥させても変形することがないという、非常に有能な材料です。
ですからこれを外側に貼ることによって外からの雨水や水蒸気の出入りがあっても、耐震性能を20年、30年経っても維持するだろうということで、ベニヤ板に比べると3倍近いお値段するんですけどこちらを採用しています。もう乾いてきましたよ。
片やこちらの状態だと水は入らないかもしれないですが、ビュンビュン隙間風と一緒に湿気が入ってくる状態、且つここがベニヤ板だとホームセンターでベニヤ板を買って外に置いておくと、3ヶ月から半年経つとブクーッと膨れ上がっていると思います。
こちらは外に切って置いておいても変形しません。
こんなふうに耐久性の高いものをちゃんと使って、しっかり気密を取っていくことが重要だと思っています。
そして次はこのロックウールなんですけど、下がロックウールで上が塗装です。
水が入っていて、下から圧をかけると、水は落ちてこないんですが空気は通る微細な穴が空いていて、これで万が一雨が入ってきたとしても水蒸気になって外に抜けるようになってます。
そのような構造になっているのがこの工法です。