断熱性能は外壁の面積が重要!光熱費がかからない正方形の家

家のかたち

“Less is more.(より少ないことは、より豊かなこと)”
それは20世紀を代表するモダニズム建築の巨匠、建築家ミース・ファン・デル・ローエが残した名言です。
あれこれと派手に飾り立てるより、
必要なものを絞って適切に配置する方が良質になる。
飾り立てるよりもシンプルにバランスをとる方が高度で難しい。
「神は細部に宿る」という名言も彼が残しました。
細部までこだわって、真の意味で豊かな家をつくりましょう。

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光熱費や維持管理費を抑えるポイントは外壁にあり

断言します。良質な住宅を建てたいのならば、「建物は小さくしたほうが良い」です。
特に住宅の外壁面積は可能な限り少なくしたいものです。

外壁面積が大きいと、「光熱費」と「施工費」そして「維持費」が割高になってしまいます。

外壁は、太陽から降り注ぐ紫外線や雨風、冬の極寒や夏の炎天下など、自然の驚異に常にさらされ続けます。外壁の面積が大きいほど、室内の温度や湿度は外気の影響を大きく受けることになります。そのため、外壁面積が大きい家ほどに、冬の寒さや夏の暑さの影響で光熱費が高くついてしまうのです。

また、多様な自然の驚異に対抗するため、外壁には耐久性の高い材料を使う必要があります。建材は耐久性能が高いほど割高になる傾向が強いため、外壁表面積が大きくなるにつれて、建築コストもかさみます。

光熱費というランニングコスト面からだけでなく、初期投資や維持管理といった建築コストの面から考えても、小さい家が持つメリットは大きいのです。

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コストダウンしたかったら四角い家!

では最も外壁表面積を小さくするにはどうしたらようでしょうか?

理論的には「球体(ドーム型)の家」が一番です。

ですが、そもそも造るのが非常に大変でコストがかかりますし、角の無い家は家具をどう置くか悩んでしまいそうですよね。製作コストや使い勝手の面から考えても、球体は非現実的です。

では、次に面積が小さいのは?そう、正方形です。正方形の家であれば、同じ床面積ならば、球体の次に外壁面積が小さくなります。四角い家ならば造るときに特に難しさもありませんし、構造的にも正方形に近づくほどに耐震性能などを高めやすくなります。

具体的に考えてみましょう。

以下は、L型の家と正方形の家です。床面積はともに98m2です。

しかしL型の場合、壁面積が1.3倍に増えました。

住宅の壁面積

極論ですが幅1m長さ98mの長方形の家だと、床面積は同じ98m2ですが、外壁面積は(98m×7m+1m×7m)×2=1386m2、なんと7倍になります。

ということで、出来るだけ表面積が小さくなる正方形か、正方形に近い長方形の家が建築的にはコスパの良い家と言えます。

また、L型の家では、材料費と施工費も比較的高くなります。

その理由は出隅(でずみ)と入隅(いりずみ)の増加にあります。

出隅とは、2つの壁が外向きに出あってできる角の部分(山になっている角)、入隅とは2つの壁が内向きに入りあってできる角の部分(谷になっている角)をいいます。

出隅と入隅には専用の角部材が必要となるため、L型の家では材料費と取り付けの施工費が高くついてしまうのです。

正方形では出隅が4箇所なので、出隅長さは7m×4ケ所=28m。
L型では出隅が5ヶ所で入隅が1箇所なので出隅長さは7m×5ヶ所=35m、入隅長さは7m×1ヶ所=42m。

つまり、出隅長さと入隅長さが1.5倍に増加しています。やはり、できるだけ正方形に近い形状で間取りとデザインを考えながらバランスをとっていくのが、良質な住宅を安価に建てるためのコツなのです。

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断熱性能を妥協していませんか?それ、最悪の選択かも。

現実的によくある悪いケースが以下です。

「家づくりの勉強をしたから、断熱性能の重要性は分かったぞ!でも、希望の間取りにするためにはどうしても予算がオーバーするなあ。しょうがない。坪単価の安いハウスメーカーを探すか」

この床面積を優先して断熱性能を切り下げるという一手は、実は最もやってはいけない悪手とされています。それは何故でしょう?断熱性能を削ってまで無理に大きな家を建てるとどういうことが起きるのか?

検証してみたいと思います。

例えば、家を大きくしたいがために、断熱を削り、外壁をサイディングに変更して耐久グレードを下げ、30坪から33坪に増加させたとします。

パッと見は6畳のお部屋が一つ増えます。しかし、断熱性能を削ってまで家のサイズを大きくしてしまうと、光熱費が当初検討していた家よりも大幅に増加してしまいます。その結果、使う頻度の低い部屋の空調を消し、暖冷房する場所を減らす方がほとんどです。

このため、例えば冬場のリビングは22℃だけど、廊下は17℃、寝室は14℃、浴室は10℃・・・と部屋間の温度差が大きくなり、必要のないときには足が遠のきます。(浴室ではヒートショックによる健康被害リスク増加も)

また、屋根や窓の断熱を削ってしまった場合、夏場になると窓周辺や2階の温度が跳ね上がり、灼熱地獄と化してしまいます。

結果として、夏冬は家の面積のうち半分程度しか利用されなくなってしまうのです。

つまり実質、坪単価は2倍にかさんでしまったようなものです(名目坪単価50万なら実質坪単価100万となる)。しかも床面を増やすために外壁の耐久性を下げてしまったので、将来のメンテナンスコストがさらにかさんでいく・・・。こういった残念な住宅を山ほど見てきました。

そして春・秋は物置と化した部屋は使えるようになるのかと思いきや、現実は甘くはありません。夏・冬の間利用されなかった居室は物置と化すため、春・秋になってもやはり物置として使われます。

家の大きさを優先する(坪単価を優先させる)あまり、断熱や耐久性などを省いたローコスト住宅を選択するというのは、良質な人生設計における住宅計画では、最もやってはいけない最悪手と言えます。(ローコストノーメンテで2回建てるケースは、一生涯で支払うお金が最も多くなります。)

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最もお得で快適な設計とは?

こういった「居室の物置化現象」を防ぐには、一年を通して居室間で温度差が生じない家づくりが必要不可欠です。これを低燃費で実現するには、現段階では断熱性能の強化以外に方法はありません。

もちろん断熱せずとも全館空調システムを導入したり、各部屋のエアコンを回しっぱなしにすれば実現できますが・・・。さて、あなたは家じゅうのエアコンのスイッチを付けっぱなしにして、電気代の請求書を受け取る勇気はありますか?(今の3倍、いや4倍以上いくかもしれませんよ・・・)

「図面上の大きさにこだわるよりも、一年間を通して使える正味の空間のサイズで考える。」
これが、ライフサイクルコストの最も安い良質な家を建てるための、ウェルネストホームの基本設計スタンスです。

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この記事を書いた人

今泉太爾
一般社団法人 日本エネルギーパス協会 代表理事 / 住宅の省エネ・快適性などに関する専門家。その他住宅に関する幅広い知見を持つ。国土交通省や長野県など、中央官庁や地方自治体の環境・住宅政策の専門委員を歴任。

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