100年長持ちは嘘だった?本当に長持ちする長期優良住宅を見極めるポイントを解説
家の購入を検討されている方ならば、長期優良住宅という言葉を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?
長期優良住宅と聞くと、何だかよい響きですよね。しかし、長期優良住宅の意味を正確に理解されている方は少ないかと思われます。
長期優良住宅の認定を受けた住宅を購入することによって、税金の面で優遇されるなど、様々なメリットを受けることができるのです。
しかし、長期優良住宅は、「世代を超えて住み続けられる住宅」と言われているのですが、実際のところはそこまで長持ちする住宅はほとんどありません。長持ちしないどころか、蓋を開けてみれば30年しかもたないような、なんちゃってな長期優良住宅が世の中に溢れかえっているのが現状です。(決して脅しではなくて事実です)
- 長期優良住宅が100年長持ちするのは嘘だった?
- 本当に長持ちする長期優良住宅を見極めるポイントはなにか?
この記事では、長期優良住宅の認定にまつわる税制上のメリットをお話しすると同時に、本当の意味での長期優良住宅を見極めるためのノウハウについてお伝えいたします。皆さんにとって、心の底から納得のいく住宅選びができるように、サポートができれば幸いです。
また、WELLNEST HOMEの場合には、長期優良住宅の認定を受けるのは任意です。標準仕様のままでは認定を受けられませんので、認定を受けるために一手間加える必要が生じます。もし弊社にて認定を希望する場合には、建てる前にご相談をいただければと思います。
WELLNEST HOMEの詳細は、以下のページからご覧いただけます。
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長期優良住宅の定義
長期優良住宅は、「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」という法律に基づき、一定の要件を満たした住宅に対して認定を与える制度になります。日本の住宅の平均寿命はおよそ30年くらいであり、欧米諸国の住宅に比べて極めて寿命が短いのです。
従来のように、建てては捨て、建てては捨てのスクラップ&ビルドによる住宅建築ではなく、一度建てたら長持ちするような住宅の普及を狙っていきましょうということで、平成21年6月4日より上記の法律が施行されました。
長期にわたり良好な状態で使用するために、大きく分けて以下のような措置が講じられている住宅を指します。
- 長期に使用するための構造及び設備を有していること
- 居住環境等への配慮を行っていること
- 一定面積以上の住戸面積を有していること
- 維持保全の期間、方法を定めていること
これらのすべての措置を講じ、都道府県または市区町村などの管轄部署に認定申請を行うことで、長期優良住宅としての認定を受けることが可能です。
少し難しい話になりましたが、簡単に言えば「長持ちで安心して暮らせる家」が長期優良住宅とも言えますね。認定を受けるには、法律に基づいた申請項目があるので、この記事の中で詳しく解説していきますね。
国土交通省のデータによると、長期優良住宅の認定制度が開始してから、毎年10万戸ほどのペースで長期優良住宅による新築の戸数が増えています。
長期優良住宅の認定は、2016年4月より、新築だけでなく耐震改修工事や断熱改修工事なども含んだ増改築を行う場合にも適用されるようになりました。もしみなさんがこれからリフォームを検討されているならば、長期優良住宅の認定も視野に入れてみてはいかがでしょうか?
長期優良住宅の認定で優遇される4つの税金
長期優良住宅の認定を受ける最大のメリットとも言えるのが、税金が優遇されるということです。具体的には以下の4つになります。
- 所得税
- 登録免許税
- 不動産取得税
- 固定資産税
①所得税
所得税の控除には2つのパターンがあります。
- 住宅ローン減税:控除対象の限度額が通常ならば4,000万円のところ、5,000万円まで引き上げられる
- 投資型減税:標準的な性能費用強化相当額(上限650万円)の10%をその年の所得税額から控除される
上記2つの控除制度は併用ができませんので、いずれか1つを選択することになります。
②登録免許税
不動産を取得すると必ずかかる税金の人琉、登録免許税が長期優良住宅の場合軽減されます。
所有権保存登記の場合、一般の住宅は0.15%徴収されますが長期優良住宅はその3分の2、0.1%となります。所有権移転登記の場合、一般の住宅は0.3%徴収されますが長期優良住宅だと戸建ては0.2%、マンションなら0.1%に軽減されます。
③不動産取得税
上記と同じく、不動産を取得したときや、新築・増築したときにかかる不動産取得税も軽減されます。新築住宅だと、不動産取得税=(固定資産税評価額-1200万円)×3%となりますが、長期優良住宅だと軽減率が大きく、(固定資産税評価額-1300万円)×3%にて徴収されることになります。
④固定資産税
新築で家を建てたり、購入した場合一定の期間を通じて固定資産税が2分の1に軽減されますが、長期優良住宅であれば、戸建てとマンションどちらも5年から7年に軽減期間が延長されるのです。
※上記の税制優遇につきましては、2020年3月31日までに取得した不動産が対象となります。購入した時期や入居時期により内容が変わってしまうこともあるので、国土交通省や国税庁のホームページなどをご参照ください。
長期優良住宅の認定を受けた家を買うことで好条件のローン商品が申し込める
長期優良住宅の認定によって、【フラット35S】、【フラット50】という2つの好条件な住宅ローンを利用することができるようになります。
【フラット35S】は、住宅金融支援機構が手がける35年間の長期固定金利となります。「フラット35は金利が高いのでは?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、実はフラット35Sの適用を受けることで10年間は0.25%の金利引き下げが可能になります。
【フラット50】は、最長で50年間にわたって住宅ローンを借りることができる制度です。
長期優良住宅は本当に長持ちする住宅なのか?
さて、ここからが本題です。ここまで長期優良住宅の税制面を中心としたメリットについて語ってまいりました。
けれども、皆さんが本当に求めているのは、果たして税金や住宅ローンといった金銭的なメリットだけでしょうか?
(もしそうお考えであれば、この章は読み飛ばしてください)
おそらくは、長期優良住宅の名前の通り、長持ちする住宅とイメージされている方も多いはずです。しかし、長期優良住宅の認定基準を紐解いていくと、本当に世代を超えて長持ちする住宅なのかどうかが疑問に感じます。
まず、長期優良住宅の認定基準の全体像を見てみてください。
(ここではすべての認定基準をじっくり読む必要はありません。もし必要でしたら、一般社団法人-住宅性能評価・表示協会にて詳細をご確認ください。)
この認定基準の中で、劣化対策に注目していただきたいのです。
劣化対策等級3とは、「通常想定される自然条件及び維持管理の条件の下で 3世代(おおむね75〜90年)まで、大規模な改修工事を必要とするまでの期間を伸長するため必要な対策が講じられている」ことを指します。簡単にいえば、3世代まで大掛かりな工事をしなくても木が腐ったりシロアリに食われたりすることがないですよということです。
そのため、劣化対策のための具体的な方法として以下のような項目などがあります。
- 木材の腐朽やシロアリ被害に対する対策
- 壁体内結露防止のための通気層の設置
そこまで技術的に難しい対策ではありません。シロアリ対策であれば、木材に薬剤を塗布したり、シロアリ被害を受けにくい樹種を使うという対策になります。ところが、塗布した薬剤の効果は75〜90年ももつでしょうか?塗布した薬剤の効果は、5年くらい経てば切れるため、その度に再塗布が必要になります。
土台部分の処理だけならばまだ良いのですが、壁の中に隠れた柱に対して薬剤を塗布できますでしょうか?そうなりますと、本当に薬剤処理をしただけで長持ちする住宅といえるかどうかが疑問になります。(WELLNEST HOMEにつきましては、緑の柱という薬剤を加圧注入した国産材を使うことで、この問題をクリアしています)
次に、通気層の設置についてみていきますね。通気層は文字通り空気の通り道となる層のことです。外壁と柱の間に通気層を設けることによって、通気層から湿気を逃し、壁の中に結露ができないようにすることを狙ったものとなります。しかし、通気層を設けることで、本当に壁体内結露が防げるのかどうかは疑問です。何故ならば、この工法によって気密性が確保できない可能性が高いからです。
気密性が確保できなければ、夏は外の湿気が通気層を通して壁の中に侵入します。このような工法で、果たして本当に壁の中の結露の防止につながるでしょうか?皆さんが、長期優良住宅の建築をハウスメーカーさん、工務店さんに依頼するならば、通気層の内側の透湿防水シートをどのように施工しているかを確認してみてください。透湿防止シートがタッカー(大型のホチキスみたいなもの)留め程度ならば、タッカーの隙間から湿気が漏れる可能性が大なのでNGです。
(ちなみに、長期優良住宅の認定基準の中に気密性は盛り込まれていません)
通気層、透湿防水シートといった壁の中のつくりについては、外からではわからない壁の構造の違い【通気層とサイディングと防水透過シートの不都合な関係】にて、弊社代表の早田宏徳が動画で詳しくお話しさせていただきました。こちらも合わせてご覧いただけると理解が早いです。
以上、説明が長くなりましたが、劣化対策としてシロアリ対策や通気層があるのですが、長期優良住宅が定めている認定基準で果たして3世代まで長持ちする住宅ができるかどうかは甚だ疑問が残ります。
長期優良住宅がこうした仕様でつくられているならば、その家は30年後には住むのが難しい可能性が大であり、万が一に住めたとしても、地震がきたら間違いなく倒壊するでしょう。
壁の中の結露を防止するならば、以下のことに注目する必要があります。
- 高気密化
- 調湿性能の高い素材(漆喰、セルロースファイバーなど)
WELLNEST HOMEが行なっている結露防止のための対策については、結露が怖い本当の理由【あなたの家の壁にひそむ恐怖の住人】にて、動画もまじえて詳しく解説しています。
【まとめ】長期優良住宅を建てるなら本当に長持ちする家をつくる工務店を見極めるべし
長期優良住宅について、税制面を中心にしたメリットに加え、「果たして長期優良住宅は本当に長持ちする住宅なのか」という話もさせていただきました。
長期優良住宅の認定を受けることで、税金の面でも優遇されますし、フラット35S、フラット50といった魅力的な住宅ローンの利用もできます。しかし、長期優良住宅が本当に長持ちする住宅なのかどうかは注意していただきたいところです。
とはいうものの、WELLNEST HOMEにおきましても長期優良住宅の認定の実績はあります。標準仕様そのままでは認定を受けることができませんので、施工に一手間を加える必要がありますし、認定のために追加で費用をいただくこともあります(施工内容によりますが30〜50万円くらいです)。もし弊社で長期優良住宅の認定を希望する場合には、建てる前にぜひ一度ご相談をいただければと思います。
WELLNEST HOMEの詳細は、以下のページからご覧いただけます。
【参考情報①】長期優良住宅のデメリット:認定・維持には時間もコストもかかる
長期優良住宅の認定を受ければ、税金や住宅ローンの面で受けられるメリットは大きいのです。一方で、認定を受けるにあたって時間もコストもかかる点がデメリットとなります。
長期優良住宅のデメリット①:一般の住宅より工期が長くなる
長期優良住宅を建てると、一般の住宅よりは数週間~1ヶ月、場合によってはそれ以上に工期がかかることがあります。
そのため、長期優良住宅を多く建ててきたハウスメーカーや工務店ならノウハウや経験があるので、そのような業者に頼んだほうが安心ですし、工期を早めることもできるかもしれません。経験がある方が担当してくれていると、申請のコツなども教えてくれる可能性もありますよね。
長期優良住宅のデメリット②:認定のために施工費、材料費などかかる場合がある
長期優良住宅に求められる性能(耐震性能、省エネルギー性能など)をクリアするために、施工費、材料費などが余分にかかる場合があります。
かかる費用は工務店、ハウスメーカーによって異なりますので、ぜひ問い合わせてみてください。
WELLNEST HOMEの場合には、施工内容に応じて30〜50万円の費用がかかります。
長期優良住宅のデメリット③:認証を申請するのに時間や労力がかかる
長期優良住宅の認証を受けるのに、行政に申請する必要があります。自治体によって値段は異なりますが、5万円前後はかかるものと想定していてください。
工務店、ハウスメーカーによっては申請代行を行ってくれる会社もあります。WELLNEST HOMEでもお施主様のご要望に応じて長期優良住宅の申請代行を行いますので、ぜひ家を建てる前にご相談ください。
(長期優良住宅の申請は、建物の着工前に済ませておく必要があるので注意してください)
長期優良住宅のデメリット④:建物が完成後もメンテナンスコストがかかる
長期優良住宅の認定基準に「維持保全」についての項目がありますよね。
10年ごとに点検を行い、必要に応じて調査・修繕・改良を行わなければなりません。その場合には、調査・修繕・改良の費用がかかります。
ただし、こちらもハウスメーカーや工務店によっては無料で点検をしてくれることもあるので、事前に業者さんと細かく確認し、コミュニケーションをとることが大事になってきます。
【参考情報②】長期優良住宅の認定基準
下記の項目が主な認定基準となります。
- バリアフリー性:将来必要となるかもしれないバリアフリーリフォームに対応できるようになっていること
- 可変性:子どもの進学、独立などライフスタイルの変化に応じ、間取りなど構造の変更が可能になっていること
- 耐震性:稀に発生する大きな地震に対し、その後も継続して住むための改修ができ、また損傷レベルの低減も図っていること(耐震等級2以上、または免震措置が講じられている建物など)
- 省エネルギー性:次世代省エネルギー基準に適合するために、必要な断熱性能などが整っていること(省エネルギー対策等級4以上)
- 居住環境:周辺の良好な景観の形成や、地域における居住環境の維持・向上に配慮されていること
- 維持保全計画:定期的な点検、補修などに関する計画がしっかり策定されていること
- 維持管理・更新の容易性:構造躯体(基礎部分)に比べて耐用年数の短い内装や設備に関しては維持管理を簡単に行えるために必要な措置が講じられていること
- 劣化対策:数世代にわたり住宅の構造躯体が使用できること(床下空間330mm以上を確保する必要あり、劣化対策等級3相当)
- 住戸面積:一戸建ては75㎡以上、少なくとも一つのフロアの床面積が40㎡以上であること
【参考情報③】長期優良住宅の認定申請の流れ
長期優良住宅の申請は、各エリアの所管行政庁にて行います。申請に先立ち、登録住宅評価機関という場所で技術的審査を受ける必要があります。
申請の手続きはお施主様のご本人が行うこともできますが、もしご不安な場合にはハウスメーカー、工務店に代行してもらうことも可能です。WELLNEST HOMEにおきましても、長期優良住宅の認定の実績がありますので、ぜひご相談ください。