2020年の省エネ義務化問題!【住宅の資産価値が激減!?】

3年後の2020年に「住宅の省エネ基準の義務化」が予定されています

実はこの2020年問題を知らないと、せっかく建てた住宅の資産価値が激減する危険性があるのです

35年の住宅ローンを組んだのに、僅か数年で違法建築扱いされてしまうといった悲劇が起きないように、

しっかり学んでいきましょう

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省エネルギー住宅で大幅な遅れをとっている日本

2017年4月1日より住宅の省エネルギー性能に関する歴史的な法改正が施行されました。
その法案の名前は「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律案」です。

今、政府は ※住宅の質の三大要素 の一つである「省エネルギー性能」最低基準を決めようとしています。
※住宅の質三大要素・・・「耐震」「省エネ」「長持ち」

地震大国である日本では、まずは耐震性能から義務化が行われ、これまで大地震が発生して建物に甚大な被害が出るごとに基準強化がなされてきました。

耐震の次に政府が取り掛かるのが、「省エネ」です。

ザックリといえば2020年から家の省エネルギー性能に対して義務、つまり最低限度の基準を決めようとしている法律です。「え、家の省エネルギー性能って最低基準無いの?」と思われると思いますが、驚くことに現段階で日本では家に省エネルギー性能の最低基準は存在しないため、例えば無断熱の家でも合法なのです。

詳しくは建築物省エネ法のページをご覧ください。

環境意識が高まっている昨今、冬に暖房が必要となる国で、無断熱でも家が建てられる国を、私は日本以外に知りません。もはや日本のお家芸となってきたガラパゴス化現象ですが、この環境意識の低さはさすがにマズいということになり、2020年から義務化されることで、ようやく先進国の仲間入りを果たすとも言えます。

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日本の窓の断熱性能は犬小屋レベル以下!?

世界の素材別サッシの普及率

現在、日本で家を建てるときに使っている窓は「アルミサッシ」です。ハウスメーカーのパンフレットにも、「アルミサッシはペアガラスで高い省エネルギー性能」と書かれています。日本の窓の約9割がアルミ製のサッシです。

アルミサッシは、加工のしやすさや強度、耐火性や耐久性などの観点から、非常に優れた窓素材です。ただし、唯一の欠点が「断熱性能の悪さ」です。そのため、地球温暖化や資源の枯渇など、環境意識の高まったここ30年で樹脂サッシ(樹脂はアルミの1000倍断熱性が高い)に世代交代が進みました。今では、ほとんどの国で過去の遺物とされ、使用されることはなくなっています。

アルミペアガラスの断熱性能は、U値4.65w/m2K。(U値とは、1mあたりに1時間で逃げる熱の単位。窓の場合、0~6.51の間で評価され、数値が0に近づくほど断熱性能が高く、6.51に近づくほど断熱性能が悪い、という意味です。)

この4.65がどのレベルかと言うと、アメリカやヨーロッパに持っていくと、性能が悪すぎて犬小屋でも使わないレベル。お隣の韓国や中国に行っても法律の断熱最低基準を満たしていない為に住宅で使用することは出来ません。

私たちが新築で使っている窓が、いかに性能が悪いものだったのかが分かります。


出典:YKK AP調べ[YKK AP 樹脂窓の歴史](ドイツ:建築物のエネルギー性能に関するEU指令(2014年予定)、中国:第12期5カ年(2011〜2015)、日本:平成11年次世代省エネ基準、アメリカ:EPA/DOEエネルギー省計画)

関連記事:【窓で欠陥住宅をチェック】知らないと怖い家を腐らせる結露

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知らないと資産価値を激落ちさせる「断熱性能の義務化」


実はこの「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律」では、住宅の省エネルギー性能に最低基準が義務化されるのは2020年を予定しています。

「なんだ、3年後か。じゃあまだ関係ないな・・・。」

と思った方、それは大きな間違いです!
この法律は、将来の私たちの人生設計に大きく影響してきます。例えば、2020年までには住宅を購入したいと考えている方はもちろん、今住宅を所有している方にもこの法改正で、どのような影響があるのかを知っておく必要があります。

もし2020年以降の義務基準に満たない家を新築しまった場合、わずか数年でせっかく建てた自宅が型落ちになるという意味でもあり、ファイナンス的には資産価値がガクンと下がってしまう可能性が高くなります。

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耐震基準の改正で資産価値が激落ち!?

類似の事例を見ながら検証してみましょう。それは同じく住宅の質の三大要素の一つである、「耐震」で過去に発生しました。

現在の耐震基準は1981年に施行された、現行基準の「新耐震基準」と、それ以前の「旧耐震基準」に分けることが出来ます。(細かくはもっとありますが今回は割愛します)

耐震基準

この1981年より前の建物を、不動産業界では「既存不適格」といいます。

「既存不適格」とは、読んで字のごとく、「現在の耐震性を満たしていない違法建築」という意味です。ただ、違法建築と言ってしまうと、建てた当初は合法だったんだから、さすがに違法建築とするのは少々可哀想だということになり、ひねりだされたネーミングが「既存不適格」。

これまた読んで字のごとく、「現行法で見ると違法建築だけど、建築当時は適法だったんだから違法とすると可哀想だな・・・、ということで特別扱いで違法ではないが不適切」という意味です。

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銀行がお金を貸してくれない「既存不適格」な家の恐怖


「違法ではないが不適切」であるため、当然耐震性能に不安があり、大きな地震が発生した場合には色々なリスクに直面する危険を伴います。

また、財産価値としては大きな影響が発生します。ここがこれから家を買う人からすると重要な問題ではないかと思いますが、はっきり言えば、「既存不適格」な家には銀行がお金を貸してくれない場合が多いです。

というのは、現行法に照らし合わせると違法建築であるため、銀行は違法な家にお金を貸すことを極端に嫌がります。それは、市場価値が低いために担保として価値がないからにほかなりません。

とはいえ完全な違法建築ではないのでシブシブ貸す場合もあり、日本の銀行は全く貸さないわけではありませんが、万が一返済が滞った場合に、競売で売る時に違法建築は買い手が付きにくい為に敬遠しているのです。

そこで銀行は、「いやー、この物件は既存不適格なので、住宅ローンは組めません。いっそ建て替えてみては・・・」。もしくは、「いやー、土地の価値からするとこのぐらいの金額が限界でしょうか・・・」ということで、かなり貸出額を低く抑えてきたりします。

「既存不適格」はファイナンス的なネガティブさによって、ジワジワと市場から退場させられてしまいます。つまり「資産価値が一気に下がる」ことによってソフトランニングで、マーケットから退場させることで、壊してもらうか、建て直してもらうということを、この20年以上強要されてきました。

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家に関するライフサイクルコストを節約する方法を大公開!

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耐震と同じことが2020年以降、省エネルギー性能についても行われる

断熱性能が基準未満の家は、現行法上適法ですが、あと3年もしたら既存不適格物件になってしまいます。そのため、耐震と同じ理由で、リフォーム費用があとでかさんだり、売ったり貸したりするときにネックになる可能性が高くなります。

省エネ基準

もし、今後新築住宅を建設予定の場合、省エネルギー性能は、特にリフォームすると費用がかさむ断熱性能は、必ず最低でも2020年の義務基準予定の「平成28年基準を超えるレベル」、基本的に誘導基準以上(今だと「ZEH強化外皮基準」以上)にしておくことを強くお勧めいたします。

1地域 2地域 3地域 4地域 5地域 6地域 7地域 8地域
H28年基準 0.46 0.46 0.56 0.75 0.87 0.87 0.87 0.87
ZEH強化外皮基準 0.4 0.4 0.5 0.6 0.6 0.6 0.6 0.6

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新築の半分以上は数年後には資産価値ガタ落ち!

省エネ基準適合率の推移

出典:国土交通省

国土交通省の調査によると、最近新築されている住宅のおよそ半分は2020年以降の最低基準を満たしていません。つまり、省エネ基準に着目しておかないと、1/2の確率で、わずか数年で資産価値が激減してしまう可能性があるということになります。

にわかに信じがたい状況ですが、国土交通省の発表なので本当のことなのでしょうね。建ててわずか数年で一気に資産価値ガタ落ちの家を高値掴みだけはしたくないものです。

家電はたった数年で価格が半減するということも珍しくはありませんが、数年で買い替える前提の家電ならまだ我慢できます。

しかしながら、生涯で最も高額な買い物である、家がそうなってしまうと人生設計が狂ってしまいます。清水の舞台から飛び降りる気持ちで、35年の住宅ローンを組んだのに、残り30年待たずして違法建築扱いされてしまうという、とんでもないことが2件に1件行われているこの現実・・・。

建築業者は、いかに財産権について理解が足りないのか。この不都合な事実を知らないで家を買ってしまうと本当に大変です。

「今ならまだは違法ではないからOKです。ですが、本当は2020年以降は資産価値ガタ落ちですけどね。ついでに省エネ性能が低いと光熱費も高いですよ・・・。」

とは、絶対に教えてくれませんので、自分の身を守るためにも、勉強するしかありません。

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この記事を書いた人

今泉太爾
一般社団法人 日本エネルギーパス協会 代表理事 / 住宅の省エネ・快適性などに関する専門家。その他住宅に関する幅広い知見を持つ。国土交通省や長野県など、中央官庁や地方自治体の環境・住宅政策の専門委員を歴任。

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