【窓やサッシが結露する家は要注意】
住宅のカビ対策のまとめ

冬や梅雨の朝、目覚めると窓とサッシに水滴がビッシリで、
カーテンがカビて困ったという経験はありませんか?
結露が発生すると、同時にカビも繁殖し始めます。
実は結露によるカビ被害はカーテンや床だけではありません
家全体に広がり、住人への健康被害を及ぼしている可能性があります

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結露がもたらすカビによるシックハウス

家の中で過度な温度差が発生する場合に必ず発生するのが「結露」です。窓ガラスやサッシ枠に、ビッシリとついた結露をふき取ることから一日が始まるのが、日本の冬景色とも言えます。

結露が発生するところは湿気がたっぷり存在するため、瞬く間にカビが発生します。そしてそのカビを食べるダニが発生し、カビとダニによる「シックハウス症候群」が引き起こされます。

「シックハウス症候群」とは、住宅が原因と考えられる様々な健康被害の総称です。主な原因は塗料や接着剤などから揮発した有害な有機化合物( VOC:常温で化学変化を起こし分子構造を変え気体となる物質 )であるとされています。
シックハウス症候群を防止するため、国は原因物質とされるホルムアルデヒドやトルエンなどの濃度指針値を定め、2003年のシックハウス対策法でホルムアルデヒド拡散量に制限をかけました。

しかし、このシックハウス対策法施工後もシックハウスの症状を訴える患者は存在しています。ホルムアルデヒドなどのシックハウスの原因とされている揮発性化学物質は、新築後およそ 2 年でほとんどが揮発します。それにもかかわらず、新築後 2 年以上経った住宅でも、シックハウスで苦しみ続けているのが現状です。この原因は何なのでしょうか?その答えは結露がもたらすカビとダニにあります。

家の中での様々なアレルギー症状の大きな要因は、室内の天井や壁に生えているカビとそれを餌にするダニなどの「ハウスダスト」です。押入れの奥であったりとか、タンスの裏であったり、壁の中であったりと、カビは目に見えなくても身の回りに無数に存在しています。

日本の梅雨や夏のような高温多湿な気候環境では、普通の生活をしながらカビの増殖を抑えることはとても難しいことなのです。最近では、カビの菌糸から出る酵素が化学変化を起こし人体に有害な揮発性化学物質( VOC )が出ていることが確認されています。建材を自然素材にして接着剤などを減らしても、カビが生えるような環境にしてしまう限り、シックハウスは防げないのです。

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世界有数の「カビ天国」日本

みなさんはカビについてどれだけ知っていますか?敵を知り己を知れば百戦危うからず、まずはカビとはどんな生物なのかを考えてみたいと思います。

「菌類」の中でも単細胞あるいは「菌糸」という糸状の細胞体で出来ているものがカビといわれています。この糸状の細胞体で取りついた物質から水分や栄養素を取得して生きています。大きさは2~10ミクロンと肉眼では見えません。カビは単体では生きられず、何かに取りつくことで生きています。

地球上の微生物の三分の一はカビであり、三万種類以上も存在するとされています。五億年以上もの太古から地球上のありとあらゆるところに存在しており、北極や南極などにも存在が確認されています。

私たちはカビに囲まれて生活しているといっても過言ではありません。食品や木材をはじめ、ガラスやプラスチック、アルミにもカビは取りつきます。カビに取りつかれた物質は、劣化、変色、毒物の生成などを行うことがあります。カビが最も快適な環境は「気温20~30度」「湿度80%以上」、この条件がカビは大好きです。つまり高温多湿で水蒸気の多い日本は世界有数の「カビ天国」といえます。

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住宅に発生する5種類のカビをご紹介

私たちの住宅には様々な種類のカビが発生しています。

①クラドスポリウム(クロカビ)

家のいたる所に存在している、黒色のカビです。
低温、乾燥にも比較的強く、気管支喘息などのアレルギー症状や呼吸器疾患の原因物質の1つとされています。

②ペニシリウム(アオカビ)

ブルーチーズに寄生している青色のカビです。
有名な抗生物質のペニシリンはこのカビから発見された薬です。
「マイコトキシン」という強いカビ毒を生成する種類も確認されています。
気管支喘息などのアレルギー症状や呼吸器疾患の原因物質の1つとされています。

③アスペルギルス(コウジカビ)

家の中だけでなく、自然界にも広く分布するカビです。
酵素力が強く昔から醤油や味噌、焼酎などの生成に活用されています。
気管支喘息などのアレルギー症状や呼吸器疾患の原因物質の1つとされています。

④アルテルナリア(ススカビ)

ユニットバスやトイレ、キッチン、結露した窓や壁、エアコン内部など、湿気の多い場所で増殖するカビです。
スス状に黒く広く繁殖して壁を覆っていきます。
胞子が比較的大きく軽いので空気中に散りやすく、アレルギー性鼻炎の要因となります。

⑤トリコスポロン

ユニットバスやトイレ、キッチン、結露した窓や壁、エアコン内部など、湿気の多い場所で増殖するカビです。
20℃以上の高温と高湿度(Aw0.9)を好むため、6月から10月にかけて繁殖しやすい傾向があります。
胞子が肺に到達すると、夏型過敏性肺炎を引き起こすことがあります。

上記のようなカビは何にでも取りつきます。植物の様に光合成をしてエネルギーを取得できませんので、何かに取りついて酵素のちからで取りついた物質を分解し、そこからエネルギーを吸収して生きています。

カビの分解機能がなかったら地球上はゴミであふれかえっていたかもしれません。カビは地球をきれいにする掃除人でもあります。ちなみにカビが取りついて分解するときに、人間に有害な分解を「腐敗」、反対に有益な分解を「発酵」と呼んでいます。

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あなたの家は大丈夫?カビが大好きな4つの要素

カビはいたるところに存在していますが、特に好きな環境条件があり、その条件を満たしたところでは積極的に増殖します。カビ四大要素は以下の通りです。

①水分
②温度
③酸素
④養分

以下で詳しく見てみましょう。

カビ発生要素①水分

カビも微生物の一種であり、生命体ですので生きるために水が必要です。水が全く存在しない環境ではカビは生存することが出来ません。実際に、カビは周辺の湿度が減少すると不活性化し、増殖を停止することが分かっています。やはり水分はカビの増殖に必要な3大要素の1つと言えるようです。

水分を定量的に表す指標として水分活性(以下Aw:Water Activity)という指標があります。(Aw×100は相対湿度と近似しているため、空気中の湿度=Awと考えることもできます。)
一般的なカビの増殖に必要な最低Awは以下の通りです。

種別 AW(水分活性)
アルタナリア 0.95
トリコスポロン 0.90
黒麹カビ 0.88
クラドスポリウム 0.85
ペニシリウム 0.83
アスペルギルス 0.65

日照が悪く、風通しも悪い北側の部屋などでは、湿度が高くなります。冬場には別の居室で冷暖房や加湿器を焚いていた場合、暖房されていない部屋などでは非常に高湿度になりカビの温床となりやすい環境です。他にも新築の建物は中古に比べて建物自体の湿度が高く(乾ききっていないため)、どうしてもカビが増える原因となってしまうため、特に注意が必要です。

カビ発生要素②温度

カビを含む微生物の好む温度によって、大まかに5つに分類されます。
高冷菌0~20℃
中温菌20~45℃
好熱菌45~60℃
高度好熱菌60~80℃
超高好熱菌90~100℃
カビはその中でも1の高冷菌、2中温菌に所属する菌類が多い微生物です。

60℃以上の高温で加熱すると多くのカビは死滅するため、洗濯乾燥機などの乾燥温度が60℃となっています。ただし、乾燥した状態での加熱の場合、120℃以上で長時間過熱しないと死滅しないカビも存在する為、住環境における低温熱処理では、必ず死滅させられるわけではないことに注意が必要です。その為、住宅内部におけるカビ撲滅に高温処理で対応することはかなり難しいといえます。(低温処理はほぼ不可能)

カビ発生要素③栄養

カビも生物ですので、栄養がないと生きていくことが出来ません。ただし、カビは非常に多種多様の物質を養分として利用することが出来ます。ブドウ糖や果糖などの糖類や、ショ糖や麦芽糖などの二糖類、オリゴ糖などはもちろんのこと、でんぷんやセルロースなどの多糖類まで、分解酵素を細胞外に分泌することで加水分解して吸収することが出来ます。つまり、カビは住宅内部のあらゆる物質を分解して栄養とすることが出来るため、栄養を断つということはほぼ不可能に近いと考えられます。

カビ発生要素④酸素

カビは酸素を必要とする好気性微生物のため、酸素がないと活動ができません。しかし、真空などの無酸素においてもカビ胞子は死滅するわけではないので、酸素の存在する状況に戻すとたちまち増殖してしまいます。私たちも酸素がなければ生活することが出来ないので、住宅内部で酸素をゼロにするというカビ対策は不可能です。

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住宅でできるカビ対策の秘訣は水分にあり

カビ対策に有効な方法は「水分」「温度」「栄養」「酸素」この四大要素のどれか一つでも排除することが出来れば可能です。または、防カビ材などの化学物質で細胞自体を破壊するなどの直接的な対策をすることが有効です。

温度は0℃以下または120℃以上ですので住宅内部においてこの範囲での対策を恒久的に行うことは不可能です。栄養と酸素についても住宅内部においてはいずれも対策が不可能といえます。

そのため、四大要素の中で、住宅内部において対応可能なのは、「水分」のみとなります。具体的には、空気中のAw(相対湿度)を隅々まで60%以下に保つことです。

夏に外気の湿度が優に60%を超える高温多湿な日本では、夏に除湿が必要であることの理由の一つです。
また、冬場には断熱性の低い窓ガラスやサッシ枠などが結露を起こしてしまうので、家じゅうの外に面する建材において、結露させないレベルの高い断熱性能が必要となります。

ウェルネストホームでは一年中カビが生えにくい環境を整えるために、サッシ枠の断熱性能の高い(フレーム枠U値=1.0W/m2K)ドイツ製トリプル樹脂サッシを採用しています。(住宅において最も断熱性能が低い部分はサッシ枠のため)

また、壁の中に室内の湿度が漏れない様に、高い気密性能を必ず確保いたします。実はウェルネストホームがC値0.3以下の超高気密にするのは、壁の中にカビや木腐朽菌を増殖させない為です。外気と接する壁などの中は外に向かうにつれて温度が下がる為、気密性が低い日本の住宅の大半は、部屋の中に室内の湿度が入り込んで結露を起こし、カビが大量に繁殖しています。

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防カビ剤の問題点


カビキラーなどでカビを退治する科学的な対応は有効なカビ対応です。しかしカビに対して強力な殺傷能力や増殖予防効果を発揮する防カビ薬剤は、人体に無害であることはまず考えられない為、使用に当たってはMSDS(化学物質等安全性データシート)を詳しく読み、適切な使用方法とその後の洗浄処理などを行わなければなりません。

あくまでもカビが生えてしまった時の対処処理として留め、できる限りカビの生えない環境を整える予防処理を行うことが求められます。

ウェルネストホームでは、室内では防カビ剤などの化学的な対応は必要最小限度にとどめる為、予防対策として室温の均一による高湿度空間の排除や、結露を発生させないための高断熱建材など、カビの生えない湿度環境を一年中通して実現できるように企画・設計しております。

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ウェルネストホームのカビ対策

冬に結露を発生させないためには、どの部屋も温度差がない状態に保ち、断熱性能の低いサッシを使用し、適切な換気によって過度な湿度の排出を行わなければなりません。

そのためには設計・施工段階で以下の4つの条件を整える必要があります。

①高い断熱性能(床、壁、天井、サッシフレームすべてU値1.0以下)
②部屋と部屋の温度差を抑え、60%以下の湿度を維持する温熱環境設計
③各部屋の用途に応じた適切な換気風量を確保するためのダクト設計
④計画した換気風量が実現するための高い気密性能

ウェルネストホームでは、上記4段階をすべて確実に実現するために、ドイツ製トリプル樹脂サッシを採用し、吹抜けなどを多用した開放的な間取りとし、防汚設計されたダクトを使用して部屋の用途別に換気量を確保してダクト設計を行います。もちろん気密性はC値0.3以下と計画換気の推奨値である1.0以下を大幅に下回っています。

カビに悩まされることの無い住宅を造り、長く住み続ける環境を整えていきましょう。

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この記事を書いた人

今泉太爾
一般社団法人 日本エネルギーパス協会 代表理事 / 住宅の省エネ・快適性などに関する専門家。その他住宅に関する幅広い知見を持つ。国土交通省や長野県など、中央官庁や地方自治体の環境・住宅政策の専門委員を歴任。

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